仮想通貨の損失

弊社には日頃から、FXや株式投資、先物取引の他、最近では特に暗号資産(仮想通貨)の税金に関するお問い合わせが毎日多く寄せられるのですが、年末が近くなると、今年の確定申告はどうしたらいいのかと不安になる方も多くおられるようで、その数も増えてまいります。

その中でも

「今年は損をしてるから税金はかからないですよね…?」

とご質問いただく事も少なくありませんが、実はそうとも限りません。

資金としては損をしているのだから、同年に他に利益がある方は、それと相殺したいというお気持ちもわからなくは無いのですが、実は本人が損をしたという認識であっても、必ずしも税務上損失の扱いになるとは限らないのです。

そのように間違えたまま確定申告してしまい、後に税務署から指摘をされて、余計な税金(ペナルティ)を払わなくても済むよう、その損失が本当に利益と相殺が出来るのかどうかを、予め知っておくことが大事です。

ではどういったものが損失扱いになるのか、順を追って解説していきましょう。

 

暗号資産で損失扱いになるものは?

まず結論から申しまして、損失扱いになるケースは大きく分けると「売買による損失」「雑損控除」の2つが可能性として考えられます。

「売買による損失」に関してはそのままなので、特に解説は不要かと思いますが、「雑損控除」についてはあまり耳馴染みがないかと思いますので説明いたします。

雑損控除とは?

雑損控除とは、かなりフランクに言うと「要件満たせば損失にしていいよ」というものです。

内容としては

災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができる

とされています。

逆に言うと、「災害」「盗難」「横領」でなければ雑損控除は受けられないということです。

この部分だけを見て暗号資産で考えるとするならば、当てはまる可能性があるのは、ハッキング事件などによる「盗難」などが該当するかと思われます。

暗号資産が盗難にあった場合は雑損控除になる?

では実際に暗号資産が盗難にあった場合、雑損控除に当たるかどうかですが、実は資産の要件の内容について専門家でも見解が分かれる部分でして、暗号資産に関してもこの要件を満たすものだという明確な見解はまだ出ていません。

ちなみに、その雑損控除の対象になる資産の要件は以下の通りになります。

損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。

(1) 資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の者

(2) 棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。

つまり、仮に「盗難」が当てはまったとしても、(2)の部分に該当するのかどうかが判断し難いところなのです。

法定通貨は無条件に「生活に通常必要な資産」と考えられますが、現状、暗号資産は通常必要な資産ではないと判断されることもあります。

そのため、暗号資産は一概に、盗難に遭った=損失だと言い切れないと考えられます。

実際に暗号資産が盗難に遭った事例では?

具体的に考えられるパターンですと、取引所のホットウォレットが外部からハッキングに遭い不正に資金が流出するケースがあるでしょう。

2020年9月にもKuCoinのハッキング事件があり、取引所のホットウォレットにアクセスするための秘密鍵が、不正に入手された事が明らかになっています。

迅速な対応により被害を最小化したとはいえ、被害が出ていることに変わりはありません。

そのように資金が流出した場合は、その補償の内容により課税関係が生じる場合が出て来ます。

これに関しては、過去にCoincheckやZaifの事件があった際、ブログに書かせていただいていますので、詳しくはそちらををご参照下さい。

関連記事>>>『仮想通貨が流出したら税金の確定申告は必要?投資に強い税理士が解説』

このように補填されるのであれば損失は発生していませんので、雑損控除を考える必要はなくなります。

ただ、今後どこの取引所でも同じように補填されるとは限りませんので、同様のケースにならない場合も起こり得るでしょう。

暗号資産で損失になると思われやすいものについて

上記の「雑損控除の要件」には入っていませんが、他にもよく「損失になりますか?」と問い合わせを頂くケースについて解説していきます。

仮想通貨を誤送金した場合は?

暗号資産を取引されている中で意外と頻繁に起こるのが誤送金です。

一般的に言うゴックスしたと言われるものです。

ATMやネットバンキングなどで法定通貨を振り込みするのと違い、組戻しのような手続きもありませんので、送ったら送りっぱなしになってしまい、ほぼ100%返ってきません。

ウォレットのアドレスは24~37文字もある不規則な文字列となっており、一文字でも間違えれば全く違うところに送金してしまいます。

そのため、みなさんも間違えないよう気を付けていらっしゃるとは思うのですが、それでも間違ってしまった場合、手元から資金がなくなる事には変わりはありません。

しかし売買による損失や、雑損控除の要件には当てはまりませんので、直接的には雑所得の損失扱いにはなりません。

また、「誤送金である」ということを証明するのは難しく、あくまで自分が自由に使えないところに送ってしまっただけで、どこかに存在しているわけですので、税務上の損失の扱いにはなりません。

暗号鍵を紛失した場合は?

これも意外と多いのですが、管理していた暗号鍵を不注意で紛失してしまうケースです。

ホットウォレットで資産を管理していると、外部からのハッキングにより秘密鍵が盗まれる可能性があるため、コールドウォレットで管理する方も多いでしょう。

ハッキングを受けないようにコールドウォレットで管理をしていても、そのコールドウォレット自体が破損する事により、暗号鍵が取り出せなくなる事もあります。

また、こういった破損を避けるために、ペーパーウォレットと言われる紙に、自分の暗号鍵をQRコードで印刷して保管する方法もありますが、こちらも印刷したものを紛失する可能性や、燃えてしまう可能性もあります。

このように様々な理由から、暗号鍵のわからない持ち主不明の暗号資産が、ブロックチェーン上に相当額あると考えられています。

しかし、この場合も誤送金同様、暗号資産の取引での損失ではありませんし、ただ失くしただけですので、税務上の損失にはなりません。

暗号資産絡みの詐欺に遭った場合は?

結論から申しますと、詐欺は損失の扱いにはなりません。

上記で解説した雑損控除の損害要因の要件の最後に

「なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。」

と明記されています。

弊社への問い合わせの中にも結構あるのですが、暗号資産が絡んだ詐欺案件は多数あると言われています。

実際に「詐欺にあった」と相談してこられた方の例で言いますと、ICOにビットコインで投資したものの、突然ICOのサイトにアクセスできなくなり、自分の投資した資金が動かせなくなってしまったというものや、暗号資産を使ったアービトラージ案件で、突然出金ができなくなり、サイトにもアクセスできなくなった等のケースがあります。

このようにプロジェクトが実行されなかったり、実行されたとしても、連絡も取れなくなるケースは少なくありません。

また、こういった事案を「詐欺だ」と立証するのも難しく(海外であればさらに困難と言えるでしょう)、多くの場合まとまった資金を失うことになりますので、痛手は大きいかと思います。

その中でも、一旦は取引所に上場し、市場で取引がなされた上ですぐに二束三文になったという場合であれば、売却した時点で損失が確定しますので、他に雑所得(総合課税)で利益が出ていれば相殺可能ですから、まだマシだと言えるかもしれません。

これまでのケースでも、

「年100%以上のリターンが期待できる!」

という触れ込みで資金を集めるHYIP(ハイプ)案件や、

「マイニングマシンがなくても会員になれば、マイニングの成果が受け取れる!」

と謳って会費を大勢から集めるマイニングサービスなど、たくさんの詐欺的商法があるようです。

もちろん、全てのICOやHYIP案件、マイニングサービスなどが詐欺だとは申しませんが、中には実際には運用していない、いわゆる「ポンジスキーム詐欺」も多くありますので、自己防衛するためには、うますぎる話、怪しい話には乗らないことが一番だと言えるかも知れません。

まとめ

今回は、暗号資産で損失を出した際に、税務上控除が出来るかについて解説してきましたが、こうやって見てみると、一見損をしているようでも税務上は利益と相殺することが出来ないケースが多くあります。

間違って申告をしてしまうことで、更にペナルティがかかってくる可能性もありますので、1年の集計をする際に、間違って損失に含めてしまわないようお気をつけください。

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