仮想通貨で決済

最近では、ビットコイン等すっかりメジャーになった暗号資産(仮想通貨)ですが、それをお持ちだったり、投資をされていたりしている方はもちろん、お持ちでない方でも近頃はネットショップの他、大手量販店や一部の個人店舗でも使えることから、暗号資産でモノやサービスが買えることをご存知の方は多いかと思います。

それもあってか、暗号資産を使った決済サービス会社の決済数も増加していますので、どんどん私たちの身近な存在になってきていると言えるでしょう。

しかし、大半は差益(値上がりした利益)を得るために暗号資産を所有されている方で、物を買う目的だけで所有されている方は恐らく少数かと思われます。

日々、決済手段としては広まっているその一方で、無料相談などでお話を伺っていると、実は日本の税法の中では非常に扱い辛いものなので、

「これを暗号資産で支払うのは辞めておいた方が良いのでは……?」

と思ってしまう事も少なくありません。

使う時は考えてなくても、後で大変な目に遭うケースも起こり得ますので、今回はその辺りのことについて解説してみたいと思います。

 

PayPayやLINEPayなどのQR決済や電子決済のように気軽に使うと苦労する?

まず決済を考えるにあたって、暗号資産でモノやサービスを買う仕組みについて知っておく必要があるかと思いますが、個人であっても法人であっても、暗号資産で何かを購入するためには、一旦それを売却して利益を確定させ、その得た現金で購入したという解釈になる為、例えば購入の度に差益が出ていれば、その差益を1年分で合計し、一定額を超えていれば税金が発生することになります。

つまり、ガムを買っても、ジュースを買ってもその都度、暗号資産の利益が確定するので、税金のことを考える必要が出てくるというわけです。

そうなると少し難しい話になりますが、その度に暗号資産の取得原価を把握しておく必要がありますので、具体的には「総平均法」もしくは「移動平均法」にて、取得原価を計算しなければなりません(詳しくは以下の記事をご参照下さい)。

関連記事>>>『ビットコインなど仮想通貨の確定申告をする際の具体的な計算方法とは?』

さらに厄介なのが、商品やサービスを購入した際に、店舗のウォレットに送った事は取引所のデータに記録されているものの、この送金が何を購入したものか、レートはいくらかまでは記録されていません。

そのため、確定申告を行うにあたって、法定通貨(円などの現金)でいくらの商品やサービスを購入したものなのかを把握するために、購入の際のレシート等はしっかりと保管する必要が出て来ます。

決済手段としては、PayPayやLINEpayなどのQR決済や、iDやQUICKpayなどの電子決済ほどスマートではないものの、ログインして支払を確定させるだけなのでさほど手間はかからないと思われがちですが、支払った後が非常に面倒になるのが暗号資産ですので注意が必要です。

暗号資産の支払い計算を外部に委託した場合は?

全ての方に当てはまるわけではないのですが、以下のようなケースも実際にあります。

確定申告をする際に、どうしても計算が煩雑で自分の手には負えないとなると、弊社のような暗号資産に詳しい税理士や会計士など、計算を代行してくれる会社に依頼することとなり、その費用が発生します(もし無申告だと後でペナルティの税金がかかってくるなど、余計に大変なことになります…)。

こういった場合、行為としては商品やサービスをただ購入しただけですが、先述のように計算が必要となるため(むしろこの方が計算に手間がかかります)、場合によっては100円のガムを買った計算費として1000円かけてしまっているような状況が起こり得ます。

これを考えても、暗号資産でモノやサービスを購入する際は決済する時だけでなく、後の税金のことも考えておく必要があると言えるでしょう。

暗号資産が絡んだ法人化は注意が必要?

弊社には連日全国から、FXや株式、暗号資産などの投資をされている方から、お問い合わせやお申し込みが寄せられますが、節税などを考えて、法人でトレードされる方も多くおられます。

ほんの一部を解説しますと、例えば暗号資産の場合、個人では他の所得と合算して税率が上がる「総合課税の雑所得」になるため、サラリーマンの方のように既にお給料などの所得が有る方にとっては、法人でトレードをすることで、個人よりも税率が下がるというメリットから、法人を設立される方が多いのです。

ただその際、暗号資産が絡んでくると、いくつか注意点が出てきますので順に見ていきましょう。

資本金に暗号資産を充てたい場合

まずそもそも、そんな事が出来るのかについてですが、結論から申しますと「手続きとしては可能」です。

ただ実際は、金銭としてではなく不動産や車のような「現物出資」と同じ扱いになるため、価値を評価する必要が有り、また評価した額が果たして正しいのかどうか、後々税務調査で問題になる可能性もあり得ます。

そのため、暗号資産を資本金にする事は現実的ではなく、暗号資産を先に現金化し、その現金を資本金に充てるほうが安心だろうと考えます。

ちなみに前章で解説したように、資本金にした時点で出資者個人の利益が確定しますので、値上がりのタイミングによっては個人に大きく税金がかかる可能性もあるため、合わせて注意が必要です。

社長との貸し借りを暗号資産で行う場合

会社と社長の間で金銭の貸し借りを行うというのは頻繁にあることですが、この貸し借りが現金ではなく暗号資産だった場合、どうなるのでしょうか。

まず、社長が会社に貸した時点で、暗号資産を売却したのと同じように利益が確定しますので、購入時よりも会社に貸した時の方が値上がりしていれば、社長個人の利益が確定します。

次に、会社が借りた暗号資産を商品やサービスの購入に使った場合、ここでも値上がりしていれば利益が確定します。

結果的に、この場合は社長が法人に貸した時点で利益が確定するのと、社長が現金化して利益を確定させることは、個人の税金としては同じになりますので、後者の方法で現金を会社に貸す方が、法人での余計な収支計算をしなくても済むことになります。

節税対策を考える場合は?

法人の場合、個人とは異なり決算時に会社が保有している暗号資産を「期末時価評価(まだ決済していなくても価格を評価して申告する)」する必要があるため、この際に暗号資産の価値が上がっていれば、その差益に税金がかかります。

もちろん値下がっていれば、その差損を法人の他の利益と相殺する事が可能になるため、FX等ではその目的で法人を設立される方もおられますが、乱高下が激しい暗号資産の場合は、事前に節税対策をしようにも予測が立てにくいため、目一杯効果的な節税対策が出来るかと言われると難しいかもしれません。

まとめ

冒頭にも書かせていただきましたが、日本の税金面から見ると、暗号資産は決済手段としては非常に使い勝手が悪く、複雑な部分も多いため、知らない間に申告が漏れていた(脱税していた)という事にならないよう、気をつける必要があると言えるでしょう。

また余談ですが、Facebookのマーク・ザッカーバーグが2019年にLibraという仮想通貨を発行するという構想を打ち出したのも、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)が決済ニーズに応えられていないからという理由も大きいようなので、やはり決済手段としては、まだ扱いにくい存在であると言えるのではないでしょうか。

ただもちろん、現時点での税法に沿って見た場合のデメリットですので、今後、暗号資産も含めて電子決済が進んで行く中で、税金面でも使用方法などでも、どのように変化するのか見守っていきたいと思います。

その際には、こちらのブログでもまた解説したいと思います。

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