暗号資産の確定申告

弊社へは日頃から、暗号資産(仮想通貨)の申告について、全国より相談やお問い合わせ、あと確定申告や決算代行のお申し込みをいただきますが、業者や取引量で多少変わるものの、その利益や損失の計算は、非常に複雑で手間がかかるものです。

ただ2018年からは、暗号資産の取引所から年間取引報告書が交付されるようになりましたので、ご自身で確定申告をされる際など、それ以前に比べて、暗号資産取引の利益や損失の集計がしやすくなりました。

しかし、この年間取引報告書で全てのケースが対応できるかというと、実はそうではありません。

そこで今回は、年間取引報告書で対応できるケースとできないケース、また、国税庁が公開している計算書とはどのようなものかを、順に解説していきたいと思います。

尚、「自分は暗号資産の確定申告が必要かどう分からない……」という方は、以下の記事にまとめてありますので、併せてご参照くださいませ。

関連記事>>>『いくらから?仮想通貨で確定申告をしないといけない条件と対策法とは?』

 

暗号資産交換所の年間取引報告書とは?

2018年に、国税庁は暗号資産交換業者に年間取引報告書の作成を義務付け、暗号資産の計算書(エクセルシート)を公開しました。

この「年間取引報告書」は、暗号資産交換所から交付されるご自身の取引明細結果みたいなものです。

今までは、利用者が自ら取引履歴を取得していたのですが、その取引履歴も各暗号資産交換所によって、フォーマットがバラバラでしたので、自分でまとめ直す必要がありました。

これを暗号資産交換所側が、統一化されたフォーマットである年間取引報告書を、利用者に交付することによって、まず取引履歴を取得する煩雑さがなくなりました。

年間取引報告書には、各暗号資産交換所での「年中購入数量」、「年中購入金額」、「年中売却数量」、「年中売却金額」などが記載されていて、それらを暗号資産の計算書の該当箇所に転記することにより、簡単に暗号資産取引による所得金額が計算できるというものです。

今まで、このような年間の取引が集計された様式のデータが無かったことを考えれば、暗号資産取引の利益がとても簡単に計算できるようになったと言えるかもしれません。

仮想通貨の所得の計算

出典:国税庁HPより

計算書で対応できないケースについて

ただこの暗号資産の計算書で、すべてのケースが対応できるかというと、実はそうではありません。

年間取引報告書は、2018年の取引から発行されるものですので、2017年以前から暗号資産取引をしている方は、2018年の年始時点での暗号資産の数量と、残高を自分で計算する必要があります。

また、海外の暗号資産交換所を利用しているケースでは、このような年間取引報告書は発行されないと思われますので、その場合、海外暗号資産交換所でのトレード分は、結局、取引履歴などのデータから自分で計算をしなければなりません。

暗号資産の取得価額の計算方法でも、この暗号資産の計算書で計算できるのは、総平均法を使ったものに限られますので、移動平均法で取得価額を計算したいといった場合には、移動平均法用のエクセルシートが公開されていますが、暗号資産交換所が交付する年間取引報告書を利用して計算することはできません。

つまり、国内の暗号資産交換所を使って、単純に暗号資産交換所内でのトレードを行っているといった方にとっては、2018年以降、非常に計算が簡単になったと言えますが、海外の暗号資産交換所を利用していたり、ウォレット間での複雑な移動があるといったケースでは、この暗号資産の計算書では対応しきれないことになります。

自分で集計するには?

年間取引報告書で対応できない暗号資産取引の利益を計算するためには、取引所からダウンロードした取引履歴から、エクセルなどを使って集計する方法が一般的です。

エクセルで集計をすれば、すぐに計算ができると思いがちですが、実際はこの作業がとても大変でたくさんの時間を要します。

まず利用している取引所の取引履歴(CSVファイルなど)を集めて計算をするのですが、実際にやってみると、これらの様式は各取引所によって様々で、それらすべてのフォーマットを理解するだけでもかなりの労力が必要です。

それぞれのフォーマットを理解出来たら、次はいよいよトレードの利益や損失を計算していく作業に入ります。

尚、具体的な計算方法については、以下の記事をご参照ください。

関連記事>>>『ビットコインなど仮想通貨の確定申告をする際の具体的な計算方法とは?』

集計時の注意点について

暗号資産取引の所得額を計算する上で、注意しなければならないのは、取引データが漏れなくすべて揃っているかどうかということです。

暗号資産取引をしている方の中には、国内・海外を含め、複数の暗号資産交換所に口座を開設している方も多いと思いますが、それだけの口座を開設していると、普段、頻繁に使っている口座でないものについては、うっかり忘れていたということもないとは言い切れません。

さすがに、口座は忘れないだろうと思っていても、その他、複数のウォレットを保有していると、すべてのデータを漏れなく集めるというのは簡単そうで意外と大変なことです。

他にも、暗号資産取引の所得を計算する際に使う、暗号資産の時価の問題があります。

暗号資産は相場の乱高下が激しく、また暗号資産交換所によってその相場も異なるため、どの時価で計算をするかにより、その所得額がまったく変わってきます。

ポイントとしては、自分がどの時価を使って計算したのか、後に税務署から聞かれた時に根拠として示せるよう、その根拠資料は最低限しっかりと保管しておくようにしましょう。

まとめ

ご自身が、国税庁のエクセルシートでは対応できないケースの場合、暗号資産の集計を手作業でするのはかなり骨の折れる作業だと思います。

また、その集計処理の複雑さゆえ、かなりの労力を使って計算した暗号資産取引の所得額が、税務上本当に正しいものなのかどうか、判断できない状況になってしまうことも十分に考えられます。

ご自身で対応が難しい場合には、弊社に限らず、暗号資産取引に詳しい税理士に、事前に相談されてみるもの良いでしょうし
(ちなみに弊社ですと、毎年締め切りの1ヶ月以上前には定員に達してしまいますので、もしご希望の場合は早めにお問い合わせ下さい)、その他、税務調査や、対税務署とのやり取りには対応していませんが、申告するだけであれば、損益計算アプリなどもありますので、それらを検討してみられるのも良いでしょう。

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