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暗号資産の脱税

弊社には日頃から、日本全国にお住まいの、FXや暗号資産(仮想通貨)などのトレードをされている方から毎日多くの質問や相談が寄せられますが、無料相談でお話を伺っていますと、

「いくらぐらい利益が出たら申告しないといけませんか?」

「少々だったらバレませんよね……?」

とおっしゃる方も中にはおられます。

また過去には、既に税務署から無申告を指摘され、

「毎年年末になると税務署が回収にやって来て精神的にまいってます……、どうにかなりませんか……?」

という悲痛な相談者の方も実際におられました。

過去にも書きましたが、納税義務は例え自己破産しても消えませんので、その後もずっと返し終わるまで回収に来られます。

関連記事>>>『知らないと恐ろしい!FXは自己破産しても免責されない?』←FXの記事ですが暗号資産も同じです。

FXにしろ、暗号資産(仮想通貨)にしろ、利益が出たら原則として確定申告が必要になるわけですが、特に暗号資産の場合は、日本の税金のルールが複雑ということもあり、「面倒くさい……」、「申告の仕方がわからない……」などの理由で、そのまま無申告になってしまう方もおられるようです。

ただ国税庁は、こういった投資に関する無申告や申告漏れのある人を徹底的に力を入れて調査すると、わざわざ「公表」しています。

以前からも適正な申告を行っていない納税者を見過ごす事を懸念し、調査を進めていますが、実際にインターネット取引等を対象に初めて重点調査をしたところ、2020年6月までの1年間で、全国で174億円の申告漏れが発覚し、約39億円を追徴課税したという具体的な結果が出ています。

上記の数字は暗号資産だけの結果ではありませんが、暗号資産でもかなりの申告漏れがあったであろうと推測されます。

2020年は新型コロナウイルスの影響により実地調査(直接調査官が来る調査)の件数は前年よりも減ってはいますが、だからと言って税務調査の手を緩めているというわけではありません。

中には「まださほど利益は出ていないから……」、「税務署から何も言われたことがないから……」などの理由で、自分には調査は来ないだろうと思っていて、ある日突然、税務署から連絡が来て、慌てて弊社へ相談される方もいらっしゃいますが、そうなってからでは手遅れで、正直何も出来ません。

なので、そんな悲惨なことにならないよう、今回は国税庁が行っている「重点調査」についてと、暗号資産で初の逮捕者が出た件について、詳しく解説してみたいと思います。

 

暗号資産(仮想通貨)の脱税で初の逮捕者が出た!

ニュースや新聞でご覧になった方もおられるかもしれませんが、2021年1月8日に、所得税法違反の疑いで石川県の会社役員(56)が金沢地検に告発されました。

暗号資産の取引で得た所得を隠し、脱税した疑いでの告発は全国の国税局で初です。

内容としては、平成28年、29年にビットコインで得た利益1億9900万円を隠し、所得税7700万円を脱税した疑いで、この利益は株や不動産の購入費用に充てていたという事です。

そして2021年3月30日には、懲役1年、執行猶予3年、罰金1800万円の判決が出ています。

以前のブログでも、暗号資産の脱税で大変な事になった人のお話を書かせていただきましたけども、これは暗号資産以外の調査から発展して、暗号資産の所得が発覚したケースで、今回は、暗号資産そのものの立件であるだけでなく、告発があったのが東京や大阪などの大都市ではなく、地方というところが投資家の方にとってはインパクトがあったのではないでしょうか。

逮捕の情報は国税庁のリーク!?

今回の件に関して、実名までもが新聞に載るという事は、国税庁がマスコミにリークしている可能性が高く、時期も確定申告の直前であることから、国税庁からの「ちゃんと申告してくださいね!」というメッセージにも見えます。

今は2017年~2018年のビットコインバブルと言われた時期を含む、過去の調査結果としてこのような逮捕者が出ていたりしますが、この記事を書かせて頂いている2021年においては、2020年の年末からBTCが高騰した事でまた億り人も増えていると考えられており、より一層暗号資産に対する税務調査が強化される事は確実と見られています。

関連記事>>>『知らないと恐い?FXの税務調査の実体を教えます』

無申告はペナルティを払ったら終わりではない!?

ご相談を伺っている中で時々

「まぁもし見つかった時は、ペナルティを払えばいいんでしょ?」

と言われる方がおられます。

結構な利益が出たこともあって、そう感じておられるのかも知れませんが、この逮捕により「ペナルティを払ったら終わり」では済まない事が明らかになりました。

ペナルティが払えず困っている億り人もおられますが、それ以上に逮捕され服役となったり、前科がつくこと等により、今まで通りの生活を送る事は難しくなるかと思いますので、このような事態になる前に、心当たりのある方は自主的に申告されることを強くお勧めいたします。

ではその税務調査の中でも、国税庁が発表している重点調査について次に解説していきましょう。

国税庁が行っている重点調査に暗号資産(仮想通貨)も含まれる!

今までも、税務署はFXや暗号資産(仮想通貨)の税務調査に力を入れているというお話はしておりましたが、今回は国税庁が発表している「重点調査」について解説してみましょう。

近年は簡単にインターネットを利用した電子商取引が行われるようになり、デジタルコンテンツの配信など多様な取引が可能になった事で、ネットビジネスだけでなく、FXや暗号資産(仮想通貨)などのネット取引も年々増加しています。

国税庁はこの様なインターネットを利用した取引について重点調査を行うとしており、実際に調査した結果も公表しています。

具体的には「新分野」と言われる、ネット通販やネットオークション、アフィリエイトやFX、暗号資産(仮想通貨)等のネットトレード、シェアリングビジネスなどを指していて、これらを活用することで、素人でも簡単に収入を得られることが可能になりました。

しかし注意しておかないといけないのは、こういった取引はオンライン上で行われているため、国際的な取引が容易という点や、取引の実態が一見わかりにくいこと、申告に馴染みのない人の参入も増えていることから、国税庁としても、正しく申告をしていない納税者を見過ごさないよう注視しているのです。

つまりネットトレード、中でも冒頭でお話させていただいた通り、申告が難しく、税金のことをよく知らない方が多い暗号資産の取引は、特に目をつけられているというわけです。

未だに「ネット上の事だからバレないでしょ?」と思われている方も多いように感じますが、元々オンラインでの取引はすべて証拠となる記録が残るだけでなく、この重点調査により、むしろバレる可能性が更に高くなったと言っても過言ではないでしょう。

国税庁は情報収集に力を入れている?

上記のように、すでに国税庁は先述の暗号資産取引(ネットトレード)を含む新分野に対して、適正な申告のための情報収集に力を入れていて、課税上問題がありそうな納税者を把握することで、正しい課税の確保に向けて動き出しています。

これは日本に限った話ではなく、他の国でも課題となっていて、OECD(経済協力開発機構)の税務長官会議(FTA)では、税務に関する国を超えた情報共有を行うため、国税庁も積極的に参加しています。

このような取り組みについて、国税庁の重点課題としてその内容を公表しています。

では具体的にどの様に情報を収集しているのでしょうか。

専門のプロジェクトチームを既に全国に設置している!

実は、情報収集や分析を行うためのプロジェクトチームが全国の国税局(沖縄は国税事務所)に設置されています。

ここではインターネット上からの情報収集だけでなく、法的枠組みも利用し、非公開の情報も収集していると言われています。

そうして集まった情報を基に、課税上問題があると考えられる納税者を、より的確に把握することが出来るとされています。

事業者へほぼ強制的に協力要請ができるように法改正された!?

今までは何か不審な点があった場合、プラットフォーマー(事業者)への協力要請は任意でした。

これが法改正により法律が整備され、暗号資産などネットトレードの事業者の中でも、情報提供をしない業者に対して「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」を課すことができるようになったのです。

つまり、暗号資産交換業を行っている業者に対して要請があれば、その業者は「情報を開示する」以外に選択肢がないような状況になってしまうのです。

なので、もうすでに情報は税務署にすべて把握されていると考えるべきでしょう。

ちなみに、海外の場合でも多国間での情報交換にも取り組むとされていて、租税条約に基づき、国外のプラットフォーマー(業者)を利用しているユーザーに関する情報交換がなされていくと考えられますので、国内のみならず海外であっても情報は把握されていると考えても差し支えないと言えます。

つまり「海外業者を使っているからバレないでしょ?」というのも大間違いなわけです。

ICTの積極活用も明言!

国税庁は、適切な納税を推進していくために、新たな情報通信技術の活用だけでなく、デジタルテクノロジーに精通した人材の育成や登用も進めると発表しています。

これらの取り組みにより、得た大量の情報を有効に活用するためのシステムの整備などにも取り組み、情報分析の充実を図っていくとされています。

このICT活用の一環としてデジタル・フォレンジックを活用し証拠隠しにも対応すると発表しています。

デジタル・フォレンジックとは?

デジタル・フォレンジックの「フォレンジック」は直訳で「法定の」「法医学」などを指し、犯罪の法的証拠を見つけるための分析や鑑識のことを意味します。

ちなみに日本では2006年の『ライブドア事件』で「デジタル・フォレンジック」が注目されるようになりました。

警察が関係者から押収したパソコンから電子メールやファイルを復元して法的証拠として活用した事により、結果として有罪判決が出された事で、「デジタル・フォレンジック」というものが知られる大きなきっかけとなったのです。

最近では企業内でもデジタルデータを扱うことが多くなったこともあり、一般の調査にも利用されるようになっています。

税務署もプロですので、もはや「隠しても無駄」だと言っても過言ではないでしょう。

まとめ

今回は、暗号資産そのものの立件で逮捕者がでたお話と、税務調査について掘り下げて書かせていただきました。

すべての人に当てはまるわけではありませんが、気前よくご飯をおごってくれるような人でも、なぜか税金の支払いとなると100円でも払いたくないという方は結構おられます。

しかし、ご説明させていただいたように国税庁は、しっかりと情報を把握していますので、よくわからないまま申告せずにいたり、申告に漏れがある場合は、指摘される可能性が高いので、該当される方は一刻も早く対処されることをお勧めします。

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