仮想通貨の確定申告

仮想通貨(暗号資産)取引による利益や損失は、原則として「雑所得」という種類の所得に区分され、お給料(給与所得)など、他の所得と合算して税金を計算することになります。

当然、利益が出ていれば確定申告をして税金を納める必要があるのですが、仮想通貨(暗号資産)の確定申告においては、令和元年度(平成31年度)の税制改正で、利益や損失の計算をするにあたっての大きな変更がありました。

そこで今回は、この変更点について、仮想通貨取引の利益や損失の計算方法のおさらいも含め、説明していきたいと思います。

《関連リンク》
・『いくらから?仮想通貨で確定申告をしないといけない条件と対策法とは?』
・『ビットコインなど仮想通貨の確定申告をする際の具体的な計算方法とは?』

 

仮想通貨(暗号資産)取引の所得の計算方法について

では一番基本となる取引で、仮想通貨の取引の所得の計算方法を確認しておきましょう。

保有する仮想通貨を売却、つまり日本円に換金した場合には、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が、所得の金額となります。

つまり、例えば200万円で2ビットコインを購入し、0.1ビットコインを11万円で売却した場合の所得の金額は、

110,000円-(2,000,000円÷2BTC)×0.1BTC=10,000円

で、1万円の所得になるというわけです。

このように仮想通貨取引の所得を計算するためには、仮想通貨の取得価額を計算する必要があるのですが、その方法には「総平均法」と「移動平均法」の2種類の方法があります。

総平均法とは?

総平均法とは、仮想通貨の取得価額(購入単価)を求める計算方法の1つで、複数の取引をした場合であっても、1年間に購入した仮想通貨の平均単価で計算する方法になります。

具体的には、年間の仮想通貨の購入金額の合計額を、年間の仮想通貨の購入数量で除して取得価額を求めることになります。

1年間の間に何回の取引をしたとしても、すべての合計額で計算ができることから、移動平均法に比べると計算がかなり簡単になると言えるでしょう。

総平均法のメリットについて

総平均法のメリットは、なんといっても計算が簡単だということです。

仮想通貨の購入の都度、その取得価額を計算する移動平均法に比べ、計算の手間は圧倒的に省けると言えるでしょう。

他にも、相場が上昇する前に、仮想通貨を大量購入した場合などには、移動平均法に比べ利益が小さくなることがあります。

このことは税金の計算上はメリットと言えるかもしれません。

総平均法のデメリットについて

総平均法は、1年間の平均値でざっくりと計算するため、その計算は簡単である一方で、実際の取引における利益や損失の金額と計算上の金額が、大きく乖離してしまう場合があるというデメリットがあります。

また、仮想通貨購入時の平均単価で計算することから、相場の下落前に大量に仮想通貨を購入し、下落後にそれらを売却した場合には、利益が大きくなってしまうことがあります。このことは税金の計算上はデメリットと言えるかもしれません。

他には、1年間の合計額で計算することから、年末にならないと利益や損失の計算ができないため、納税額の予測が立てにくいこともデメリットだと言えるでしょう。

移動平均法とは?

移動平均法とは、仮想通貨の取得価額(購入単価)を求める計算方法の1つで、複数の取引をした場合において、その仮想通貨の購入の度に、取得価額を計算する方法になります。

仮想通貨を購入する度に取得価額を計算するため、取引回数が増えれば増えるほど、その計算は複雑になっていきます。

具体的には、仮想通貨の購入の都度、購入前に保有している仮想通貨の購入金額と、新たに購入した仮想通貨の購入金額の和を、購入前に保有している仮想通貨の数量と、新たに購入した仮想通貨の数量の和で除して、取得価額を求めることになります。

移動平均法のメリットについて

移動平均法のメリットはその金額が経済的な実態に即した形に近くなることにあります。

1年間の平均値でざっくりと計算する総平均法に比べ、仮想通貨の購入の都度その取得価額を計算する移動平均法は、より実際の取引の利益や損失額と近い数字を計算することが可能です。

ただ、相場の下落前に大量に仮想通貨を購入し下落後にそれらを売却した場合には、総平均法に比べて利益が小さくなることがあります。

このことは税金の計算上はメリットと言えるかもしれません。

他には、仮想通貨購入の都度取得価額の計算を行っているため、取引をする度に利益や損失の計算をすることができ、納税額の予測が立てやすく納税資金の準備をしておけることもメリットの1つと言えるでしょう。

移動平均法のデメリットについて

移動平均法のデメリットは、なんといっても計算が複雑になるということです。

仮想通貨の取引回数にもよりますが、購入の都度取得価額を計算するため、取引回数が多い投資家にとっては、その計算は人間業では不可能に近いくらい、複雑になるといっても過言ではないでしょう。

他にも、相場が上昇する前に仮想通貨を大量に購入した場合などには、総平均法に比べて利益が大きくなってしまうことがあります。

このことは税金の計算上はデメリットと言えるかもしれません。

どちらの計算方法も仮想通貨(暗号資産)の生涯成績は同じになる?

移動平均法と、総平均法のどちらを利用するかにより、その年の利益の金額は変わることがありますが、その差は、利益を計算するために対象となる期間を一度区切る必要があるためで、生涯において、仮想通貨取引を始めてから取引をやめるまでの利益や損失の総合計という意味(生涯成績)では、移動平均法と総平均法のどちらを選択したとしても、その金額は一致することになります。

令和元年度以降の仮想通貨(暗号資産)の確定申告で注意すべきこととは?(令和元年税制改正による変更点)

これまで取得価額の計算方法については、移動平均法を用いて取得価額を算出することが相当とされていました。

(ただし、移動平均法を用いて取得価額を計算することが難しい場合などには、継続して適用することを要件に、総平均法を用いて取得価額を算出しても、差し支えないとされていました。)

しかし、令和元年度(平成31年度)の税制改正で、個人名義の取引では、取得価額の計算方法は「総平均法を原則とする」ことが定められました。

取得価額の計算方法を移動平均法に変更したい場合などは、確定申告期限までに届出書を提出する必要があるので注意しましょう。

なお、1度変更すると、3年間は再変更できませんので、取得価額の計算方法を変更する(届出書を提出する)場合には、事前にその点を確認しておくようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?今回は税制改正の中でも、仮想通貨の所得計算に関わる、しかも取引をしておられる方であれば、ほとんどの方に関係がある内容に絞ってご紹介させていただきました。

ちなみに、弊社はFXや仮想通貨など、投資専門の会計会社ですので、それらの確定申告については、恐らく日本トップクラスの実績があると自負しておりますが、正直、海外業者を使って、仮想通貨を何度も繰り返し取引されている方などの確定申告は、プロの我々でも、それ専用に開発したプログラム等を使わない限り、とても人間業では出来ない作業です……。

特に令和元年度からは、上記でお伝えした通り、個人の方は総平均法が原則となりました。

ご自身で確定申告をされる方や、一般の税理士事務所等へ依頼をされる方などは、かなり早くから手を付けないと、恐らくギリギリでは間に合わない可能性が高いでしょう。

今回の内容のように、実は税法は毎年変わりますので、実際、皆様からのお問い合わせでも「○○ですよね?」と聞かれても「確かに、去年まではそうだったんですが……」というやり取りは決して珍しくありません。

インターネットなどで情報を探される場合などは、その情報がいつのものかを、十分に注意するよう心掛けましょう。

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