仮想通貨の損失

弊社のクライアント様の中には、随分前からビットコインなどの仮想通貨取引をしておられた方々もおられますが、2017年の仮想通貨バブルで一気に人気が出て、取り引き人口も増えたように思います。

弊社でも、同年の3月は仮想通貨で利益を出された方々から、たくさんの確定申告のご依頼をいただきました。

一方で仮想通貨取引で、時には損失を出してしまったという方もおられ、毎月行わせて頂いている無料相談会に来られる方もおられます。

よく聞かれるのは、FXの場合、国内証券会社を利用した取引で損失が出た時には、確定申告をすることにより、3年間の損失の繰り越しが可能ですが、仮想通貨の場合は一体どうなのかといった質問等です。

予め正しい税務の仕組みを知っておくことで、損失を最小限に抑えることが出来るケースもありますので、今回は、ビットコインなどの仮想通貨取引で損失が出てしまった場合、税務上のその損失の取り扱いについてや、確定申告が必要なのかについて見ていきたいと思います。

関連記事>>>『税理士が教えるFXの確定申告で損失繰越しする際の注意点とは?』

 

ビットコイン等の仮想通貨取引の損失はいつ決まる?

まず押さえておきたいのは、仮想通貨取引において、いつの時点で損失が確定するのかということです。

無料相談会などで皆さんの話を伺っていますと、銀行口座へ円で引き出した時や、実際に仮想通貨取引で得た利益を使った時など、様々な理解をしている方がおられます。

そこで、まずは仮想通貨取引において、税務上、利益や損失を認識するタイミングについて整理したいと思います。

ビットコインなど仮想通貨を売却したとき

保有する仮想通貨を売却、つまり日本円などの法定通貨に換金した場合には、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得となります。

この差額がマイナスの場合、その時点で仮想通貨取引の損失として計算することになります。

仮想通貨で資産(商品)を購入したとき

保有する仮想通貨を、商品購入の際の決済に利用した場合には、仮想通貨を使用した時点での商品の価額と、仮想通貨の取得価額との差額が所得となります。

この差額がマイナスの場合、例え円などの法定通貨に換えていなくても、その時点で仮想通貨取引の損失として計算することになります。

仮想通貨を別の仮想通貨とトレードしたとき

保有している仮想通貨を使用して、他の仮想通貨を購入した場合には、保有している仮想通貨を使用した時点での、購入した他の仮想通貨の時価(購入価額)と、保有している仮想通貨の取得価額との差額が所得となります。

この差額がマイナスの場合には、仮想通貨で商品を購入した場合と同様、例え円などの法定通貨に換えていなくても、その時点で仮想通貨取引の損失として計算することになります。

ビットコインなどの仮想通貨取引による所得の税制上の取り扱いとは?

国税庁では、ビットコインを使用することにより生じた利益は、以下の通り、原則「雑所得」に該当する旨の見解をすでに発表しています。

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)

 国税庁ホームページ タックスアンサーNo.1524

ここではビットコインに限定していますが、基本的に、リップルやイーサリアム、ネムなど、他のアルトコインにも適用されると考えられています。

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得のことで、総合課税制度の対象となります。

総合課税制度とは、他の総合課税の対象となる所得(不動産所得、事業所得、給与所得など)と所得の額を合算し、その合計額によって所得税の税率が決まる制度のことです。

他の総合課税の所得と合算というと、仮想通貨取引で出た利益や損失のすべてが合算できるといったイメージを持ってしまう方もおられるかもしれませんが、以下の通り、そうではありませんので注意が必要です。

仮想通貨が該当する「雑所得」の税制上のルールとは?

それでは、ビットコインなどの仮想通貨が該当する「雑所得」の取り扱いについて、以下に解説していきましょう。

他の所得の利益と雑所得(仮想通貨取引)の損失は相殺できるのか?

先ほど、総合課税制度の対象となる所得は、それらの所得額を合算して税率が決まると言いましたが、各所得がプラスの場合でもマイナスの場合でも、すべてが合算できるわけではありません。

所得額がプラスの時には他の総合課税制度の対象となる所得と合算をするのですが、所得額がマイナスの場合には合算できる所得と合算できない所得が別に定められています。

所得の金額がマイナスの場合に、他の所得の利益と相殺させることを「損益通算」といいますが、損益通算の対象となる所得は、

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 譲渡所得
  • 山林所得

となっています。

つまり、雑所得の金額の計算上生じた損失については、雑所得以外の他の所得と通算することはできません。

同じ雑所得であれば相殺は可能?

仮想通貨取引の損失は雑所得に該当するため、前項の説明通り、他の所得の利益とその損失を相殺させることはできませんが、同じ雑所得同士であれば、それぞれの利益や損失を相殺させることができます(これを内部通算といいます)。

他の雑所得としては、アフィリエイトや転売ビジネスによる所得(事業所得に該当しない場合)、日本の金融庁に登録されていない海外業者を利用した海外FXによる所得などがあげられます。

ただし、国内業者を利用したFXや先物、日経225miniなどの「分離課税」が摘要されるものとは合算することができないので注意が必要です。

損失の繰り越しはできるの?

国内業者を使った個人のFX(分離課税)の場合、確定申告をすることで、損失を3年間繰り越すことが可能ですが、雑所得であるビットコインなどの仮想通貨取り引きは、その損失を翌年以降に繰り越すことができません。

雑所得同士で利益や損失を相殺してもなお損失が出ている場合、その損失はないものと同じことになります。

まとめ

仮想通貨取引による損失の取り扱いについてご理解いただけたでしょうか。

仮想通貨取引による所得は雑所得となるため、利益が出た場合には他の総合課税制度の対象となる所得と合算され、その金額により15%~55%の税金が課されますし、損失が出た場合にには、同じ総合課税制度の対象となる雑所得同士での相殺をすることしかできず、その結果がマイナスであっても、翌年以降に繰り越すことができません。

ただし、これは個人投資家として所得税法というルールのもと投資を行った場合の税金の取り扱いになります。

もちろんすべての方が該当するわけではありませんが、ご自身の投資規模やスタイルによっては、会社を設立し、法人として投資を行うという選択肢もあります

(法人化することにより、法人税法という全く違うルールで税金を計算することになり、節税の幅も非常に増えることから、弊社のクライアントさんの中には、専業の方はもちろん、会社員や主婦をされていて、会社を設立されている方が全国に多数おられます)。

会社設立や法人化と聞くと、なんだか大ごとのことのように思われる方もおられるかも知れませんが、今では資本金は1円から設立できますし(FXや仮想通貨の取引業者に口座を開設する際には、もう少しあった方が良いかと思います)、

弊社サービスへお申し込みの場合は、会社設立にかかる費用などは弊社が負担させて頂いており、後は司法書士さんにお任せで手続きしてもらうことも可能です
(但し、行政に納める法定費用等は除きます。また提携の司法書士に限りますので、詳しくはお問い合わせ下さい)。

もちろん、個々により状況に応じて、法人化した方が良い場合とそうでない場合がありますので、以下はFXを例にした記事ですが、メリットとデメリットについてまとめてありますので、宜しければご覧下さい。

関連記事>>>『知らないと危ない?FX法人化のメリットとデメリットを専門家が解説』

また、法人化することで、今よりいくら節税できるか、無料でシミュレーション資料をお作りし、ご自身で判断いただけるサービスも行っておりますので、ご希望の方はお問い合わせ下さい(こちらからセールスや勧誘をすることは一切ありませんので、お気軽にお申し付け下さい)。

勝ち続けておられるプロの方々を拝見していますと、長年続けておられる方ほど、日頃から利益が出た場合のことだけでなく、万が一、損失が出た場合の対策もしっかり考えておられることを常々実感しますので、予めどちらに転んでも大丈夫なように、対策しておくことが重要だと言えるでしょう。

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