法人化

最近では、FXや暗号資産(仮想通貨)を法人化して取引することで、税金面でも非常に有利になることが徐々に周知されて来ているようで、弊社にも、トレードを行うための会社を設立したいというご相談がかなり増えてきており、毎月複数の法人化のお手伝いをさせて頂いております

(TOPページにも記載しておりますが、弊社へ税務顧問の契約をお申し込みの場合、法人化にかかる手数料は弊社が負担させて頂きます。条件等、詳しくはお問い合わせ下さい)。

中でも

「いくらぐらいの利益があれば法人化した方が有利ですか?」

「いまの個人での収益は法人に引き継げますか?」

といったご質問も多く、詳しくお話を伺うと、なんとなく法人が有利だと聞いたからという方も結構おられます。

もちろんメリットもあればデメリットもあり、万人に有利というわけではありませんので、弊社では無理にご契約を迫るようなことはせず、それらを説明した上で、どれだけ節税が出来るかその方の状況を伺った上で、無料でシミュレーション資料をお作りし、ご本人に決めていただくようにしております。

そこで今回は、FXや暗号資産(仮想通貨)の取引で、法人化をするいくつかの判断基準や、個人で取引をしている方が法人での取引に移行する際の注意点について、解説してみたいと思います。

 

FXや仮想通貨(暗号資産)の取引を法人口座で行うメリットとデメリットとは?

冒頭で、法人化に関する問い合わせが増えて来ているというお話をしましたが、そのメリットとデメリットについてまず見ておきましょう。

FXはレバレッジ規制を回避できるが税金面で注意が必要!?

まず、FXや、ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)の取引を、法人化をして行うことのメリットについてですが、FXについては特に、「レバレッジ規制からの回避」が考えられるでしょう。

現在、国内業者の場合は一律25%のレバレッジですが、国内の法人口座だと、業者や取引通貨にもよりますけれど、ドル円の場合、大体50〜100倍のレバレッジを利かせることが可能です。

ただそのお話をすると、

「個人でも海外業者を使えば更に高いレバレッジをかけられるじゃないか」

とおっしゃる方がおられますが、短期売買の場合はスプレッドの幅を気にされたりという理由もありますが、もっと大きなこととして、個人だと海外業者を使ったFX取引(一部例外があります)や、国内外にかかわらず仮想通貨(暗号資産)の取引は、一律20%の税率がかかる申告分離課税の対象ではなく、最大55%の総合課税になりますので、法人化せず個人口座のままだと非常に不利になってしまう可能性があります。

関連記事>>>海外FX業者の税金はいくらかかるの?間違えたら税務署が来た!

法人化の税金面でのメリットとデメリットについて

さて、本題の税金面での法人化するメリットとデメリットについてですが、簡単に言いますと、まずメリットとしては、個人口座で取引するより、効果的な節税対策が可能になることや、個人よりも長い期間、損失の繰り越しが出来ることなどがあげられるでしょう。

これらについては、以下の記事に詳しくまとめてありますので、こちらをご参照下さい。

関連記事>>>知らないと危ない?FX法人化のメリットとデメリットを専門家が解説

但し、法人化しただけでは意味がない!?

少し余談になりますが、知らないと損をしてしまいかねない事なのでお伝えしておくと、上記のリンク先で、個人よりも法人の方が、より効果的な節税対策が可能だとお伝えしましたが、注意しないといけないのは、法人化しただけでは意味が無いということです。

日頃からいただくお問い合わせでも

「知り合いの税理士にFXや仮想通貨の税務申告をお願いしたんですが、それらは特殊なので、専門の税理士の方にお願いして下さい、と言われてメールしました」

という方が結構多く、弊社には全国から問い合わせが届きます。

税理士は国家資格だからスキルは皆同じでは?と思ってらっしゃる方も多いようですが、残念ながら節税や税務調査対策というのは、学校でも習いませんし、税理士試験に出るものでもありません。

なので、資格を取得してから各税理士が、日頃から研究し、実践でスキルを磨き、色んな情報収集やコネクションを駆使しているかどうかで、実は雲泥の差が出て来る部分です。

更に、FXや仮想通貨(暗号資産)の税務申告や税務調査というのは一般のそれとは異なる部分も多いので、きちんと対応するには税務のスキルだけでなく、それらの知識にも精通している必要があります。

つまり、法人化というのはゴールではなく、あくまでスタート地点に立ったというだけで、そこからどれだけ効果的な節税や税務調査対策、またトレードに活かせるかどうかは、そこから先の話になりますので、これから税理士を選ばれる際は、弊社に限らずそれらのことを注意して判断されることをお勧めします。

FXや仮想通貨(暗号資産)の取引を個人事業として青色申告できる?

ちなみにこれもよくある間違いなのですが、

「利益が増えてきたのでそろそろ法人化を考えているのですが、まずは個人事業として申告できるよう準備をしています」

という方が結構おられます。

当ブログでも過去に何度かお伝えしています通り、基本的に、FXや仮想通貨の利益を個人事業として青色申告することは、非常にリスクの高い行為です。

過去に裁判で決着もついていますので、詳しくは以下の記事をご覧下さい。

関連記事>>>『税理士が教えるFXを個人事業として青色申告することのリスクとは?』

個人から法人へ仮想通貨(暗号資産)やポジションは移行できるの?

冒頭でもお話しましたが、法人化をされるに当たって多い質問の一つに、

「個人で保有しているFXや暗号資産のポジションを法人へ移行できるのか?」

というものがあります。

そもそも個人と法人は別人格になりますので、個人口座で購入したFXのポジションや暗号資産は、あくまで個人のものとなり、それらの利益を法人で処理するためには、一度、個人から法人へ暗号資産を譲渡するなり、FXであればポジションを決済する必要があります。

ポジションを決済するにせよ、暗号資産を法人に譲渡するにせよ、一度個人で利益(もしくは損失)が確定し、そこで利益が出いている場合にはもちろん税金がかかることになりますので注意が必要です。

なので、個人から法人へ保有しているポジションや暗号資産を移す場合には、税金のことはもちろん、相場環境や損益の額も考慮に入れた上で、移行のタイミングを考える必要があるでしょう。

FXや仮想通貨(暗号資産)取引で法人化する具体的な判断基準について

法人化について最も多いのが

「利益がいくら以上になったら法人化した方が有利ですか?」

といった質問です。

よく、年間500万円だとか、800万円だとか、ネット上でも書かれていることがありますが(そのほとんどは素人の方が書かれたものだと思われますので信憑性も疑問ですが……)、そもそも法人化は利益の額だけで決められるものでもなく、その方のトレードスタイルはもちろん、何を優先されるかによっても変わってきます。

なので、一つの目安として弊社では、年間利益が300万円を超えられる場合は、無料でシミュレーション資料をお作りしておりますが、その他にもよくある判断基準を以下にご紹介しますので、それらも含めて検討されてみるのも良いでしょう。

仮想通貨(暗号資産)は個人だと損失を繰り越せないので早めに法人化されるケース

暗号資産を個人で保有している方の場合、先ほどお伝えしたように、保有している暗号資産を法人に移す場合には、個人と法人の間でその時の時価で売買をすることになり、その時に個人で利益又は損失が確定してしまいます。

相場が上がってから法人に暗号資産を譲渡すると、個人に高額な税金が発生することが考えられますし、相場が下がりすぎていると、個人で損失が出てしまうケースもあるかと思います。

現在の税法では、個人の場合、暗号資産の損失を翌年以降に繰り越すことはできません。

これらを総合的に考えると、暗号資産については利益が見込める段階で、早めに法人化を検討される方も少なくありません。

ただ、このように将来の相場を見込んで法人化をする場合は、予想利益の金額から単純に個人と法人の税金をシミュレーションした結果のみでは判断が出来ないことも多いので、ご自身の状況を、弊社に限らず暗号資産に詳しい税理士等に相談し、メリットやデメリットも理解されたた上で判断することが重要なポイントになってくるでしょう。

他にビジネスをされる場合は通算できるので最初から設立されるケース

専業トレーダーやサラリーマントレーダー以外に、他に個人事業を営みながらトレードをされている方も、世の中には多くおられると思います。

その場合は、「ご自身の個人事業をトレードと同じ法人で行うかどうか」という選択肢が生じます。

投資とビジネスを同じ法人で行うメリット・デメリットについては、以下のブログに詳細をまとめてありますのでご参照いただけたらと思うのですが、税金面以外にも、個人事業だったのを「株式会社」などの法人格に変えたことにより、世間の信頼度が上がったのか、利益や取引先が増えた方も多くおられます。

そのため、ビジネスをされている方の場合には、単純にトレード成績だけでなく、ご自身のビジネスも考慮に入れて、法人化を検討されることをお勧めします。

関連記事>>>『専門税理士が教えるFX法人でよくある失敗と具体的な解決法とは?』

ちなみに余談ですが、結婚に際して「FXの専業トレーダーです」とは相手方や披露宴で言いづらく、法人化して「小さな会社を経営しています」ということで理解を得られましたという方もおられました。

もしマイナスが出た場合は10年繰り越せるので保険として早めに設立されるケース

先ほどお伝えした通り、トレードスタイルや何を重要視されるかによって違ってきますので、一概に利益がいくらから法人でのトレードが税金面で有利かということは申し上げられませんが、目安として弊社では、年間の利益が300万円を超えるようであれば、一度シミュレーションを行い、税金面でのメリットが出るかどうかを検討されることをおすすめしています。

ただし、これは利益の規模のみからの判断であり、他にも重要な要素としては「トレードの規模」で検討するという考え方があります。

例えば同じ年間100万円の利益であっても、110万円のプラスと10万円のマイナスで、差し引きした結果100万円の利益の方と、1,000万円のプラスと900万円のマイナスで、結果として100万円の利益の方では、同じ利益が100万円でも、状況が全く違うということです。

前者の取引規模であれば大きな損失が出ることは考えにくいかもしれませんが、後者の取引規模の場合、集計を締めるタイミングによっては、大きな利益や損失が出る可能性があるでしょう。

もし、締めのタイミングがズレて大きな損失が出た場合、法人と比べて個人では対応が難しくなります。

現在では、国内業者を利用したFXの場合は、条件を満たせば3年間損失の繰り越しができるようになりましたが、法人の場合は10年間繰り越しできることから、予め法人化していたことで、長期に渡って損失の繰り越しを行い(その間の利益は繰り越し損失と相殺することが出来るので)、無事にリカバリーして復活された投資家さんも弊社には複数おられます。

またそもそも、海外業者を利用したFXや、国内外の暗号資産の損失は個人口座では繰り越すことができませんので、それで大きな取引をされるというのは、分かりやすく言えば、大きな事故を起こす可能性があるのに、保険を掛けずに自動車を運転するようなものだと言えるかも知れません。

そういったことを考えると、単純な年間の利益の他にも、取引規模という要素を考慮に入れて、法人の設立を検討することも重要なポイントになるでしょう。

関連記事>>>『そんなバカな!国内FXでも過去の損失を繰り越せないケースがある?』

まとめ

世間一般的に、FXや暗号資産の取引において(場合によっては株式投資やその他の投資でも)、個人よりも法人化をして取引する方が、メリットが大きいことが広まってきたことは喜ばしいことですが、よくよく話を伺ってみると、ネット上には専門家ではない人が書いたいい加減な情報も多く、また実際に他で法人化をされていても、効果を最大限に発揮できておらず、弊社へ相談に来られる方も多くおられます。

重要なこととしては

  • まずその情報は誰が書いたものなのか(単なる素人なのか、投資家なのか、税理士なのか等)
  • いつ書かれたものなのか(税法は毎年改正されます)

などを確認した上で、ご自身の状況と照らし合わせて、検討される必要があると言えるでしょう。

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