FXの経費として認められるもの

年末が近くなるにつれ、皆さんから弊社に寄せられる税金に関するご質問も、日に日に多くなってきているのですが、その中で、意外と多く目にするフレーズに

「既に個人事業の届出は提出しているのですが……」 や

「個人事業としてFXを青色申告するにあたって……」

といったものがあります。 FXによる所得は一般的に「雑所得」という所得に該当するのですが、個人事業としてFXを行うということは、つまりFXの所得を「事業所得」として申告するということになります。 では、FXによる所得は事業所得であると言えるのでしょうか?

間違って申告してしまうと、あとで税務署から指摘をされ、ペナルティーを払わされる可能性もありますので、今回は法令も含めて解説していきましょう。

 

事業として書類を提出していても青色申告できない?

過去に質問者の方にお話を伺ってみたところ、FXを個人事業として行っていると主張される皆さんからは、

「FXを事業内容とした個人事業の開業届けを提出している」

「FXの所得を事業所得として申告したが、何も指摘されなかった」

といった返答がございました。 しかし、残念ながらこの2つをクリアしているだけでは、FXが個人事業とみなされていることにはなりません。

個人事業の届け出を出していても事業としてみなされるとは限らない

まずは1つめの「個人事業の開業届けを提出している」に関してですが、税務署に何らかの届出を提出した場合、その記載内容がどうであれ、 基本的に税務署は収受印を押し受け取ってくれます。 ただ、個人事業の届出を提出しているからといって、そこに記載した事業内容が何でも事業としてみなされるというわけではありません。

事業所得として申告しても指摘をされなかったのは当たり前?

2つめの「FXの所得を事業所得として申告したが、何も指摘されなかった」についても同様に、申告書を提出した段階で、税務署から誤りを指摘されることは基本的にありませんので、届出同様収受印を押印し受け取ってもらえます。

内容について誤りを指摘されるのは、あくまで税務調査の時になります。 現場でのお話しをさせて頂きますと、税務調査が入った時に、以前にも少しご紹介させて頂きましたが、FXに限らず、一般的にそれが事業所得かどうかの判断基準としましては、常識の範疇で考えた場合にどうだろうか(それをメインにしてご飯を食べているかどうか)という基準で指摘を受けることがほとんどなのです。

青色申告できるか最終判断するのは税務署ではない?

更に原則的な話を致しますと、日本は法治国家ですので、それが認められるか認められないかを決めるのは税務署ではなく、行き着くところは法律的な判断になります(一般的に税理士というのは税法の専門家ですが、弊社としましてはそのような理由から、お客様の利益をしっかりお守りするにあたっては、ある程度、法務の知識も必要だと考え、日々学ばせて頂くようにしております)。

なので今回は、一般常識の判断に加えて、法律的な側面から、FXは個人事業といえるかどうかを考えてみましょう。

少し難しい内容になって恐縮ですが(もし該当される方で、意味が分かりづらい場合はお電話等でお問い合わせ下さい)、 所得税法第二十七条第一項では事業所得について、

「事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。」

と定めています。この中からFXがどれに該当するかを見ていきますと 「その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得」 以外に該当する業種がないと考えられます。

ここでいう政令とは所得税法施行令第六十三条のことなのですが、そこでは事業の内容をさらに12種類に限定しています。 詳細は長くなりますので割愛致しますけれども、この12種類を見た時に、FXが該当するかもしれないと考えられる項目は、第十二号の 「前各号に掲げるもののほか、対価を得て継続的に行なう事業」しかありません。

※興味がある方は電子政府「法令データ提供システム」を記載させていただきますので参考になさってください。

ですので、最終的にはFXが「対価を得て継続的に行なう事業」にあたるかどうかという判断になるわけです。

まとめ:先物取引が事業所得にあたるかどうかの判例は既に出ている!

実はこの判断に関しては過去に判例(裁判で判決が出ています)があり、結論として「事業には該当しない」という結果が出ています。 その裁判自体はFXの裁判ではなく先物取引についての裁判なのですが、判例の内容からは、FXに対しても同様の判断になるものと考えられます。

以上のことから、弊社では法律面からの判断としても、FXの所得を事業所得と申告する(個人事業としてFXを行う)ことは難しいと考えております。 実際、FXの所得を事業所得として申告したら、軒並み調査に入られたといった情報も入ってきておりますので、皆さんも確定申告の際には、誰かが可能だと言っていたから(もしくはネットに書かれていたから)といって、その情報を鵜呑みにすることなく、事前に専門家に問い合わせられるなど、しっかりとご自身でご確認の上、判断をされますよう気をつけてくださいね。

※この件についてはFXでも後に判決が出ましたので、以下の関連記事もあわせてご確認下さい。

関連記事:「知らなかったでは済まない?FXは個人事業として青色申告できるか?」

(2011.12.8)

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