FX法人化

弊社に寄せられる問い合わせで多い内容の一つに、

「FXや暗号資産(仮想通貨)の取引をしているのですが、会社を設立して法人化した方が良いですか?」

というのがあります。

過去のブログでも法人化について何度か書かせていただいていますが、個人と法人では何がどう違うの?と疑問に思われている方も多いようです。

ちなみに税金に関して注意点をお伝えすると、トレードを本業として法人化された場合、社長一人だけの会社にされるケースも多いのですが、売買などやっていること自体はほぼ個人と変わらないため、個人と法人のものを混同される方がたまにおられます。

ただ個人と法人は全くの別人格なので、例えば銀行口座や領収書など両方を混ぜて扱ってしまう事は適切ではありませせん。
(もちろんこれは投資のみを行う会社だけでなく、一般的なお商売を行っておられる場合でも同じです)。

ちなみに個人よりも法人の方がレバレッジを利かせることが出来たり、節税対策法が多くなったりと様々なメリットがありますが、そもそも個人と法人とでは税金のルール自体が異なりますので、法人化する前に何がどのように違うのかを理解しておく必要があるでしょう。

今回はトレーダーさん向けに、このまま個人で取引を続けるのか、それとも法人化して新たに取引を行うのか、比較する形で説明してみたいと思いますので、悩まれている方はメリットとデメリットを比較しながら、自分はどちらの方が良いのか、判断していただく材料になれば幸いです

(※個人で一般的なお商売のみをされる場合はまた少し考え方が異なりますので、今回は同じFXを個人で行った場合と法人で行った場合で比較いたします)。

 

FXの個人と法人の税金(税率)の違いは?

個人のまま取引するか、法人にするのかを検討する際、多くの方が気にされるのが税金(税率)かと思います。

ちなみによく「税率の数字」だけを見て比較される方がいらっしゃいますが、それは意味がありません。

なぜなら利益が同じ1000万円でも、「個人で1000万円の利益で、経費計上だけを行った場合の税金」と、「法人で1000万円の利益が出て、社長に役員報酬を支払った時の税金と、社長個人にかかる税金を合算した場合」、で比較しなければ、個人と法人のどちらが得になるのかは判断できません。

結局はトータルでどれだけ税金が少なくなるのかが重要ですので、これから説明させていただく内容と併せて判断していただければと思います。

関連記事>>>『税率20%だけで判断すると損をする?FXの正しい税金対策法とは?』

FXの個人と法人で節税対策の違いは?

ご相談を伺っていると、「法人化すること=節税」になると思われている方が一定数いらっしゃるのですが、法人化するだけで節税になるのではなく、法人化しても何も対策をしなければ意味がありません。

そのポイントの一つが節税対策なのですが、節税対策は個人よりも圧倒的に法人の方が有利です。

と言いますのも、個人で行うFX取引は原則として雑所得に区分されるため、節税対策と言えば「いかに適切に経費を計上するか」がポイントになってきます。

雑所得の経費のルールから言いますと、「その所得を得るために直接要した費用」となっていて、その範囲は思っているよりも狭いものとなりますし、この経費計上と言うのはお金が残らない(キャッシュが出ていく)方法ですので、使った分以上に税金が減る事はありません。

一方で法人の場合、もちろん何でも無条件にできるわけではありませんが、節税対策方法は複数あります。

※この度、所得税の改正通達があり、FXや暗号資産における経費の範囲が縮小されました。新しい情報はリンク先の記事をご参照下さい。
>>>『【悲報】FXや仮想通貨(暗号資産)の経費が認められなくなった?』

法人の場合は役員報酬を支給して節税が出来る

まず最もポピュラーな方法としては社長に役員報酬を支給するという方法が挙げられるでしょう。

この社長に毎月支給する役員報酬は、法人の経費に出来ますので利益から差し引くことが可能です。

ちなみに個人だと自分にお給料を出すということはできません。

ただ、一般のお商売(事業)を個人で行っておられる場合は専従者給与と言って、年齢や事業に従事している期間など要件があるものの、手伝ってもらっている家族にお給料を出すことができ、経費として利益から差し引くことが出来ますが、個人のFXは雑所得になりますので要件に該当しません。

ですが法人であれば社長本人だけでなく、手伝ってくれているご家族へのお給料も、上記の専従者給与のような要件もなく支給することが出来て、経費として利益から差し引くことが可能です。

生命保険料を支払った場合は?

これはFXや暗号資産に限らず、個人で加入している生命保険は所得控除になりますので、最大で12万円所得から差し引くことが可能です。

ただ残念ながら、個人ではいくらたくさん保険料を支払ったとしても12万円以上は差し引くことが出来ません。

ですが法人の場合は、生命保険料が12万円以上でも状況によっては経費にすることが可能です。

個人と法人のFXで年間にかかるコストの違いは?

FXや暗号資産取引を行う上で、1年間にかかる費用を考えた場合は個人の方が少なくなります。

例えば個人のFXや暗号資産の確定申告をご自身で行った場合、作業費用は実質無料ですし、税理士に依頼したとしても、(申告内容にもよりますが)法人ほどの費用がかかることは少ないでしょう。

対する法人は、そもそも法人の決算申告を一般の方が正しく行うには非常にハードルが高いため、ほとんどの場合は税理士に依頼されるかと思います
(ご自身で申告を行われているケースもあり、何社か決算書を見させて頂いたことがありますが、正しく申告できていた会社は1つもありませんでした)。

その場合、一般的には個人よりも顧問料や決算申告料が高くなることが多いので、収益が少ない内はランニングコストの負担感が大きいため、個人での取引の方が良い場合もあるでしょう。

また個人の場合、所得がマイナスであれば税金はかかりませんが、法人は赤字であっても年間約7万円の税金がかかります。

個人と法人のFXで申告の手間の違いは?

こちらも個人の方が簡易的です。

個人のFX取引だけの申告であれば、雑所得ですのでFXの所得を計算して所定の用紙に記入したものを申告書に添付するだけとなり、特に帳簿をつける必要はありません。

法人の場合は経理処理を自分で行うには負担が大きいかもしれませんが、解決策として、記帳や領収書の処理など全てを任せられる税理士に依頼をすれば、費用の負担は増えますが、申告作業を丸投げすることが出来ますので、個人の申告をご自身でされるケースよりも、トレードに集中することが可能です
(但し、税理士事務所によっては記帳や領収書の処理は個人でしなければならないところもありますので事前に確認した方が良いでしょう)。

個人と法人のFXで始める際のハードルの高さは?

これをご覧の方は既にトレードをされている方がほとんどだと思いますが、個人でFXを行う場合は、FX業者に口座開設をしていつでも始めることができ、いつでも辞めることが可能です。

一方で法人の場合は、まずは設立するのに法務局に登記をする必要があり、この費用だけでも65,000円~21万円ほどかかります。

また、登記が終われば税務署や県税事務所、市役所などに設立届等を出す必要がありますし、登記内容に変更があればその都度変更登記をして異動届を出す必要があります。

ただ、これらは費用はかかりますがプロに依頼をすることで任せられますので、その場合はご自身でされる必要はありません
(会社設立がまだの方で、弊社へ税務顧問を依頼される場合は、設立にかかる司法書士費用は弊社で負担致しますので、詳しい条件等はお問い合わせ下さいませ)。

個人と法人のFXで利益を使いたい時の違いは?

個人の取引で得た利益の場合、税金を払った残りが自由に使えるお金になりますが、法人は、個人とは全くの別人格ですので、法人で稼いだお金は法人のお金になります。

例え、社長一人でトレードを行っている会社であったとしても、法人名義の口座で稼いだお金は法人のものであって、社長でも勝手に使うことには問題があります。

では法人で稼いだお金を社長が使いたい場合はどうするのかと言うと、基本的には役員報酬としてお給料で取ってもらうことになり、個人と比べると融通がききにくくなります。

このように法人の方が社長が使えるお金の自由度は下がる一方で、レバレッジ規制や節税対策など、その他のメリットを考えて法人化される方も多くおられますので、どこを重要視されるかは人それぞれでしょう。

個人と法人では健康保険等も異なる?

個人で専業トレーダーをされている方は、国民健康保険と国民年金に加入されているかと思いますが、法人は役員報酬を支給している場合、社会保険への加入義務が生じます。

役員報酬を支給していない場合や、役員報酬の額が社会保険料の最低ラインの金額よりも低いケースだと、社会保険料を差し引くことができないため、むしろ社会保険に加入することは出来ませんので、社会保険への加入を希望される場合は最低限保険料が差し引ける程度には役員報酬を支給しなければなりません。

尚、この社会保険ですが、労使折半と言って、会社と社長で半分ずつ保険料を負担することになります。

一般的なサラリーマンの方であれば、半分会社が出してくれるなんてラッキーと思われるかもしれませんが、社長お一人の法人の場合、実質社長が全額負担しているように感じられるため、役員報酬の額が大きくなればなるほど保険料も上がり負担が増えることになります。

なので役員報酬は法人の経費になり税金も少なくなりますが、社会保険を考慮すると、個人と法人を合わせた全体の負担を考えて額を決める必要があるでしょう。

まとめ

今回は個人と法人での取引について、それぞれの項目を比較しながら見てきました。

ネットを見ていると「個人の国内FXは税率20%だけど法人化すると30%以上になるから損じゃない?」や「法人化すれば何でも経費にできるらしい」など、間違った情報が飛び交っていて、それを鵜呑みにされている方もおられるようですが、それらは問題外として、正しい事実を見ても個人と法人とではどちらも一長一短あり、その方の優先順位や資金量、またトレードスタイル等によってもメリットとデメリットが違ってきますので、事前に正しい知識を理解した上で、自分にはどちらが有利なのか、何を優先すべきなのかを考慮して、検討されることをお勧めします。

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