仮想通貨の法人化

弊社は日本で唯一の投資専門の会計会社ですので、FXはもとより、株や先物、暗号資産(仮想通貨)など、毎日それらの税金や申告に関する質問が全国より多数寄せられます。

そんな中、ここ数年の間で特に目立って増えて来ているのが、暗号資産(仮想通貨)の法人化に関するご相談です。

例えば2020年はビットコインも値上がりし、急に利益が出て税金が高いと感じられて、来年の申告に向けて対策したいと考えられ、法人化を検討されるケースが多かったのですが、中には利益が出る前から対策を打ちたいとお考えの方や、損失が繰り越せず、悔しい思いをされた方などもおられます。

ただ、内容を伺っていると、間違った認識をお持ちの方や、そのままでは逆に損をされるケースも結構ありましたので、今回は、暗号資産(仮想通貨)のトレードで法人化を検討されていらっしゃる方のご相談の中から、特に注意すべきポイントについてまとめさせていただきます。

 

そもそも暗号資産(仮想通貨)を法人化するメリットとは?

まず大前提として、弊社へ法人化の相談をしてこられる方は、そうすることでメリットがある事をなんとなくでもご存知の方がほとんどですが、法人化を行うことで節税対策の幅が広がったり、個人では不可能な損失の繰り越しも出来るようになります。

関連記事>>>『FXや仮想通貨を個人から法人化する基準と引き継ぎは?税理士が解説』

暗号資産(仮想通貨)、個人と法人はどう違う?

ただ、個人から法人のトレードに移られる際には、いくつか注意点があり、まず原則として法人化(会社設立)して法人口座でトレードをする必要があります。

そして、これまで弊社のブログでも「個人と法人は全くの別人格ですよ」と書かせていただいておりますので、相談者さんの中にはご理解いただいている方も多くおられますが、実際にお金の動きなどのお話になると、個人と法人がごちゃまぜになってしまわれる方も結構おられます。

特に社長お一人で設立される場合、実際にトレードされているのは同一人物ですので、その境目がわかりにくくなってしまわれるようですが、考え方としては全くの他人という認識が大前提です。

これは税務署もよく指摘してくるところで、そもそも個人の財布と法人の財布を一緒に考えてしまう事から間違った認識をし、それが問題になることが多くあります。

また別人格ですので、トレードに使う口座(取引所の口座や銀行口座など)も、原則法人名義で用意する必要があります。

暗号資産(仮想通貨)のウォレットの様に無記名のものもありますが、少なくとも税務署からいらぬ疑いをかけられない為にも、個人で使用しているものと法人で使用しているものは、明確に分けておく必要があると考えます。

以下のリンクはFXやバイナリーオプションの内容ですが、暗号資産(仮想通貨)でも同じですので、宜しければご参照下さい。

関連記事>>>『XMやハイローオーストラリアなど法人口座がない業者は個人でOK?』

暗号資産(仮想通貨)を法人化したら個人の税金はどうなるの?

冒頭でも少しお話しましたが、暗号資産(仮想通貨)の法人化に関する質問の中でも最も多いのが、

「個人の利益が大きくなってきたので、これを法人に付け替えて節税したいのですが……」

というものです。

つまり、今個人で持っている暗号資産を法人で引き続き利用したいと考えておられるようですが、ここで一番注意しなければならないのが、法人に移行した場合「個人に税金がかかる可能性が高い」という点です。

含み益が大きくなっているから、今のうちに法人に移してしまって、法人で売却したほうが個人より税金がお得になるのではないか、と考えてご相談される事が多いようですが、残念ながらそうはなりません。

実際の動きとしては、ウォレット間の移動ではありますが、先ほどもお伝えした通り、個人と法人は全くの別人格ですので、個人から法人に移した時点で暗号資産(仮想通貨)を売却したのと同じ扱いになり、つまり個人での利益が確定し、差益が出ていれば税金がかかってきます。

なので含み益がたくさんある方は、移すタイミングが非常に重要になってきます。

時価よりも低い価格で法人に譲渡した場合、税金はかからない?

利益が出た段階で法人に移すと申告が必要になるのなら、個人で保有している暗号資産を、購入した時の価額で法人に移せば、個人に税金がかからないのでは?と思われる方も多いかも知れませんが、こちらは令和2年12月に公表されたFAQの中で明確に説明されています。

平成 31 年4月1日以降、個人が、時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡(注 1)により暗号資産を他の個人又は法人に移転させた場合には、その対価の額とその譲渡の時におけるその暗号資産の価額との差額のうち実質的に贈与したと認められる金額(注 2)を雑所得等の総収入金額に算入する必要があります。

(注)1 「時価よりも著しく低い価額の対価による譲渡」とは、時価の 70%相当額未満で売却する場合をいいます。
    2 「実質的に贈与したと認められる金額」は、時価の 70%相当額からその対価の額を差し引いた金額として差し支えありません。

つまり、時価の70%未満で法人に移した場合、その70%分との差額にも税金がかかりますよという事です。

例えば、1BTCが時価100万円だった場合、70%相当額は70万円です。

もしこのBTCを購入時の時価45万円で法人に移していた場合、45万円と70万円の差額の25万円も個人の所得として計算しなければなりません。

結果として、買った時の時価で法人に売却しても、個人で税金がかからないということでは有りませんので注意が必要です。

暗号資産を会社の資本金にできる?

これは会社設立に関する質問ですが、法人化する際、資本金に法定通貨(円)ではなく暗号資産を充てることはできるのか?というご質問もありました。

そもそもの前提として、登記の際に定款や登記簿に資本金1BTCとは記載出来ませんので、仮に資本金に充てるとしても「円」で表記する事になります。

ということは、円で換算するためのレートをどの時点での数字を採用するのかという問題が出てきます。

そうなると、その換算レートから算出された資本金が正しいのかどうか、税務調査で論点になる可能性が出て来るでしょう。

それらを考えると、仮に暗号資産(仮想通貨)を資本金に充てることで節税等になるのであれば、する価値もあるのかもしれませんが、結果として節税にもならず、みだりに税務調査を誘発するような行為はやるべきではないと考えます。

長期投資の場合、個人と法人では税金のかかる時期が変わる?

個人で、暗号資産(仮想通貨)を買い増ししかしていない(暗号資産同士の交換もしていない)場合は、保有しているだけなので税金はかかりません。

要は、売却や何か資産(モノ)を買ったり、他の暗号資産に変えたときに決済されたとみなされますので、差益が出てきて初めて税金がかかってくる事になります。

関連記事>>>『いくらから?仮想通貨で確定申告をしないといけない条件と対策法とは?』

一方で法人の場合は「期末時価評価」と言い、決算の時に時価で評価し、帳簿上の価格が変化します。

ちなみにこれは暗号資産に限らず、法人には所有するものを、内容によっては期末で時価評価する必要があるためですので、暗号資産が特別というわけではありません。

これにより差益が出ていれば税金がかかりますし、損失が出ていれば法人の他の所得と相殺、もしくは損失の繰越をすることになります(法人は個人とは異なり損失の繰り越しが出来ますので)。

暗号資産の価値が変わらないと仮定すれば、支払う税金はほぼ同じですが、保有しているだけでも毎年価値が確定するタイミングがやってくるのが法人です。

法人で数年単位での長期保有をお考えの方は、個人と同様に、決済していなければ税金がかからないということではありませんので注意が必要です。

個人から法人に暗号資産(仮想通貨)を貸し付けると?

相談者さんの中には、

「個人から法人に『貸す』ことによって、個人で利益は確定しないのでは?」

とおっしゃる方もおられますが、実際のところ、税法上明確に暗号資産を貸す場合はこのように扱うといったルールははまだ決まっていません。

重要なのは、無いからと言って問題がない、税金がかからないということではなく、すでに存在している税法に照らし合わせて一番近い性質のものと同じ考え方で課税されると考えますので注意が必要です。

個人から法人に暗号資産を貸した時は?

ちなみに一般的に会社経営において、法人が社長から運転資金を借りる事はよくある話です。

ただ、暗号資産の場合、この運転資金を法人に貸す際に注意しなければならないのは、税法上の考え方としては1BTC貸したからと言って、1BTC返してもらえばいいというわけではないという点です。

「え?それじゃダメなんですか……?」

とおっしゃる方がたまにおられますが、そもそも税金を考える時には「円」で考えなければなりません。

といいますのも、先程の定款や登記簿と同様に、帳簿をつけるのも、申告書への記載も全て「円」で記載することになりますので、円に換算する必要が出てくるのです。

実務的に見ると、法人に貸し付けた時に1BTCが300万円であれば、この場合、法人の帳簿上は300万円借りたという事になりますので、返すときも300万円です。

もし返す時に1BTCが100万円に値下がりしていれば、BTCで返す場合3BTC返す事になりますし、1BTCが600万円に値上がりしていれば0.5BTC返すという考え方になります。

また、1BTC100万円の時に購入し、1BTC300万円になった時に法人に貸した場合、法人は300万円として使えるとなれば、この差益の200万円に対して個人に課税される可能性が出て来ます。

当人からすれば「貸しているだけ」なのかもしれませんが、先程説明したように300万円貸して300万円返ってくるのですから、購入時より差益が出ていることは明らかで、税務調査で非常に指摘を受ける可能性が高いと考えます。

レンディングやステーキングのため法人に預けるケースは?

こちらもよくあるご質問ですが、結論として、取引所が行うレンディングやステーキングと、個人が所有する法人間での貸借を、同様に考えるのは非常にリスクがあると考えます。

例えば取引所が行うレンディングやステーキングであれば、お金を不特定多数から集めますので、そもそも金融商品取引業者の登録が必要ですし、その預かったお金はしっかりと区別され管理がなされていることが前提になります。

一方で、相談者さんの中には、個人でお持ちの暗号資産を、ご自身が代表で法人設立をし、そこに預けてレンディングやステーキングとして運用することを検討されておられる方が結構おられます。

この様な、一人もしくはご夫婦、ご家族が役員になられる形で設立された法人の場合、最初に書かせていただいたように個人と法人の財布をごちゃまぜにされていることも多く、税務署側から正しい会計が行われていないのでは?と疑われる可能性も高まるでしょう。

そのため、集めたお金の管理が明確になされていないと見られるケースが一般的には多く、法人にかかる税金を不当に減少させるための取引だ!と疑われる可能性が高くなりますので注意が必要です。

まとめ

ここまで暗号資産(仮想通貨)の取引で、よく勘違いされているポイントや、間違いの多い点をお伝えしましたが、結果として「所得を不当に減少させる取引」とみられる可能性のあるものは、どこまでいってもリスクがついてまわります。

これらに関するお問い合わせは、ご自身にとって都合のいい部分しか見ておられない場合も多く、税金のプロが「リスクがありますよ」とお伝えしても、甘い考えや希望的観測から、投資のプロが話す「素人の税法」を信じてしまわれる方も残念ながらおられます。

以前からお伝えさせていただいておりますが、ネット上には信憑性の低い情報も多くありますので、その情報を発信している人はそもそも税金のプロなのか?また税法は毎年改正されますので、いつの情報なのか?は、最低限確認されることをおすすめいたします。

節税をしていたつもりが、脱税になっていたとなると、本来納める必要のなかった多額のペナルティまで払うことにもなりかねませんので、充分に注意してくださいね。

関連記事>>>『FXや仮想通貨の無申告や脱税などペナルティの種類と対応策について』

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