投資の経費

弊社は日本で唯一の、FXや株式投資、仮想通貨など、投資専門の会計会社(税理士事務所)ですので、毎年確定申告の時期になるとになると、個人投資家の方から節税に関するご相談が非常にたくさん寄せられます。

中でも、必要経費を計上するということに関しては、最も基本的な節税対策となるため、非常に専門的で突っ込んだご相談をいただくことも珍しくありません。

これまでもFXや、ビットコインなどの仮想通貨に関する必要経費の判断基準や計上の仕方について、当ブログで解説してきましたが、一言で投資といっても、その種類により必要経費に出来るもの、出来ないもの等の考え方は様々で、ここを曖昧にしておいては正しい判断、節税を行うことは実はできません。

そこで今回は、個人投資家の基本的な節税対策である「必要経費の計上」に特化して、基本的なその考え方を解説したいと思います。

※この度、所得税の改正通達があり、FXや暗号資産における経費の範囲が縮小されました。新しい情報はリンク先の記事をご参照下さい。
>>>『【悲報】FXや仮想通貨(暗号資産)の経費が認められなくなった?』

 

節税の基本は必要経費を「しっかりと計上する」ことから!

個人口座でトレードをしている方々にとって最も基本的で、かつ、効果的な節税対策としては、いかに適切に必要経費を計上するか、ということが最大のポイントになります。

そんな基本的なことは分かっているよ!という方も多いでしょうが、毎月行わせて頂いている無料相談会で、皆さんのお話しを伺っていたり、実際にお持ちになられた資料を拝見してみると、プロの目から見てきちんと適切に必要経費を計上出来ている方というのは、実は非常に少ないのが現状です。

税務署は節税のやり方は教えてくれない!?

なので、確定申告のやり方や、記入方法などについて分からないことがあった場合は、最寄りの税務署に聞けば教えてもらうことができますが、残念ながら節税の仕方までは教えてくれません。

取引手数料のように、明らかに経費と考えられるものについては、経費に計上できると言ってくれるかもしれませんが、税務的な判断が必要なものについて相談すると、無難に「経費ではありません」と言われてしまうことが実は多くあります。

そもそも、実は税法上、それぞれの投資に対して経費として認められるのは、コレとコレですといった、具体的な決まりはありません。

個人の税金についてのルールを定めた「所得税法」では、個人に入ってくる収入を10種類に分け、その10種類それぞれについて様々な取り決めをしています。

FXや仮想通貨取引、株式投資などの必要経費についても、その取り決めの中で定義されているわけですが、前述の通り、コレとコレが必要経費ですといった書かれ方がされているわけではありませんので、実際にはそれぞれの必要経費の定義を解釈した上で、必要経費と考えられるかどうかという税務的な判断が必要になってきます。

関連記事>>>『FX税金の確定申告でスプレッドや手数料は経費になる?』

それぞれの投資における必要経費の定義について

それでは、それぞれの投資の必要経費について、税法上はどう定義されているのか、詳しくみていきましょう。

FXにおける必要経費の定義とは?

FXでの収益は、個人の場合「雑所得」という所得の区分に該当します。

雑所得の必要経費については、所得税法第37条で定められていますので、確認してみましょう。

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。

引用:所得税法第37条第1項より一部抜粋

つまり税法上、FXで収益(決済益やスワップ益)をあげるために直接要した費用の額については、必要経費と考えることができるということになるわけです。

ビットコインなどの仮想通貨取引における必要経費の定義とは?

仮想通貨取引における収益も、原則的に「雑所得」という所得の区分に該当します。

つまり、仮想通貨取引とFXは税法上同じ所得の区分に該当することになりますので、その必要経費の根拠となる条文は、FXと同様に所得税法第37条の規定によることとなります。

よって、仮想通貨取引で収益をあげるために直接要した費用の額については、必要経費と考えることができるということになります。

株式投資における必要経費の定義とは?

株式の売却における収益のほとんどは「譲渡所得」という所得の区分に該当します。

譲渡所得については、所得税法第33条で定められていますので、こちらも確認してみましょう。

譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。

引用:所得税法第33条第3項より一部抜粋

つまり税法上、株式の取得費及び株式の譲渡に要した費用の額については、必要経費と考えることができるということになります。

具体的に必要経費として計上できるものとは?

では、ここまでの定義を踏まえて、実際に必要経費と考えることのできるものの一例を挙げてみたいと思います。

FXとビットコインなどの仮想通貨取引の場合

  • 売買(取引)手数料や入出金に関する振込手数料
  • (仮想通貨の場合)その取得費
  • 通信費(取引にかかった分のインターネット接続費用や、口座開設時の郵送代など)
  • 研修費(FXや仮想通貨取引に関するセミナーの受講費など)
  • 研修を受けるためにかかった交通費や宿泊費
  • 新聞図書費(FXや仮想通貨などの投資に関する書籍や雑誌など。また投資に関するE-BOOK や配信サービス等の費用など)
  • 事務用品費(トレードに使った分の、コピー代や筆記用具、プリンタのインク代など)
  • FXや仮想通貨取引に関する器具・備品・消耗品費

一般的には、このようなものが該当すると考えられます。

ただし、通信費や取引用のパソコンなどで、トレード専用として利用していないものについては、全額を経費として計上するのではなく、仮想通貨取引に利用した割合で按分して、経費計上する必要があることに注意しましょう。

株式投資の場合

株式投資の必要経費は「取得費」と「株式の譲渡に要した費用」の2つです。

つまり、

  • 株式の取得費用(取得価額のことです。)
  • 証券会社の手数料

一般的には、この2つが該当すると考えられます。

ここで注意しなければならないのは、FXや仮想通貨取引と違い「収入を得るために直接に要した費用」については必要経費にならないという点です。

つまり、株式投資においては、通信費や研修費、その他の消耗品等については必要経費として計上することはできないとされているのです。

まとめ:個人の場合は投資によって必要経費の定義が違う!

今回は、非常に基本的なことから解説いたしましたが、このように一言で必要経費と言っても、投資内容により具体的に経費になるものは変わってきます。

この点をしっかりと理解せず、曖昧なまま申告をしてしまうと、後々、本来納める必要のなかった加算税や延滞税などのペナルティーの税金まで徴収されることにもなりかねませんので、もし不明な点があった場合は、弊社に限らず、投資の税務に詳しい税理士などの専門家に、事前に問い合わせてから、正しく確定申告を行うようにしましょう。

ちなみに、今回は個人投資家さん向けに解説しましたが、法人口座で取引されている方は、また全く違った考え方で、より有利に節税できるケースも多々ありますので、興味のある方は以下の記事も参考にされてみて下さい。

【関連記事】
『FX法人でよくある失敗と具体的な解決法とは?』
『FXの確定申告で必要経費となるもの、税務署の判断基準とは?』
『FXの税金を正しく効果的に節税する方法とは?』
『FXや仮想通貨の無申告や脱税などペナルティの種類と対応策について』

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