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FXや仮想通貨は何所得

近年、働き方改革等により、副業OKの会社が増えてきたこともあり、個人の働き方にも多様性が出てきました。

例えばネットビジネスだと、せどり転売やアフィリエイト、シェアリングエコノミーやYouTube等の動画配信などの他、弊社へご相談下さる方の中には、サラリーマンをしながらFXや仮想通貨(暗号資産)などのトレードをされている方も非常に多くおられます。

そんな中、国税庁がパブリックコメントで、副業の所得の扱いについて通達の改正案を発表したのですが、これによって一部のサラリーマンの間で「増税ではないのか?」といった懸念の声が上がっているようです。

そのパブリックコメントの内容を先に簡単に紹介しますと

「300万円以下の副業は雑所得として扱いましょう」

というもので、このまま改正案が通れば、副業の所得が300万円以下の場合、原則雑所得として扱われる事になります。

なぜ300万円以下は雑所得として扱われると、一部のサラリーマンから増税じゃないかと懸念の声が上がるのか、公表されたパブリックコメントと共に、個人の所得の区分について解説していきましょう。

 

国税庁が発表した副業における所得の内容とは?

2022年8月1日に発表されたパブリックコメントですが、これは改正案を公表して意見や情報を募集する制度で、この記事をかかせていただいている9月はその募集期間を終え、結果待ちという状況です。

さて、その国税庁が発表したパブリックコメントの内容ですが、一部抜粋しますと

事業所得と業務に係る雑所得の判定について、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定すること、その所得がその者の主たる所得でなく、かつ、その所得に係る収入金額が 300 万円を超えない場合には、特に反証がない限り、業務に係る雑所得と取り扱うこととします。

引用元:国税庁パブリックコメント

このような内容になります。

【関連リンク】
「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)の概要
『所得税基本通達新旧対照表』

今回の改正の背景には、適正に申告するために所得の区分の判断が難しい、ということがあると書かれているのですが、事業所得と認められるかどうかについては裁判で揉めるようなケースも多い事案ですので、一般の方が正しく判断するのは難しいかもしれません。

しかし、なぜこのタイミングで副業の所得についてこのような規制をすることになったのでしょうか。

副業を正しい所得の区分で申告していないケースが多発している?

実は副業OKな会社が増え、収入の柱を増やす方が増える一方で、無理のある節税対策方法が横行し、正しく申告されていないケースが多発していると言われています。

と言いますのも、インターネット上で、「サラリーマンの副業は事業所得で申告しないと損ですよ!」「節税対策ですよ!」等、正しくない内容が書かれた記事が乱立していて、これを信じて申告している方が多いのではないかと思われます。

実際に横行していると言われている無理のある節税対策の方法ですが、主に以下の2パターンと言われています。

副業の所得を事業所得で申告する

一般的に事業所得を申告する場合は、事業を始める時に、開業届と一緒に青色申告承認申請書を税務署に提出しておき、複式簿記で記帳をし、電子申告することで65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。

もし電子申告せずに紙で申告した場合でも55万円、複式簿記で記帳しない白色だった場合でも10万円の特別控除を受ける事ができます。

このように事業所得の場合、特別控除というものがあり、確かに雑所得で申告するよりもお得にはなるのですが、この仕組を利用し、事業的規模に至っていない副業の所得を意図的に事業所得として申告し、青色申告特別控除を受け、かかる税金が少なくなるように申告するといったスキームです。

赤字の副業を事業所得で申告して納めた税金を還付してもらう

他にも青色申告は「損益通算」が可能になります。

その損益通算には一定のルールがあって、何でも通算できるわけではありませんが、もし事業が赤字だった場合、総所得金額から控除することが税金の計算の仕組み上可能ですので、サラリーマンの方が年末調整の時に、すでに納めている税金が返ってくる事になります。

もちろん、年末調整で納めた以上の税金は返ってきませんが、少しでも返ってくるのであればラッキーと考える方も少なくないでしょう。

そのため、わざと経費を多く計上して、赤字の額を増やすことで、さらにたくさん還付してもらおうといった行為も行われていると言います。

実は過去に事件になっている!

過去に、コンサルタント会社がサラリーマンに、架空の事業で赤字が出たように装い確定申告をさせ、不正に税金を還付させるといった脱税指南を行っていたという事件があり、コンサルタント会社の社長が逮捕されています(ニュースになった持続化給付金の不正受給と似たスキームです)。

架空の事業という点は悪質性が高く、今まで説明させていただいたケースと少し異なりますが、経費をたくさん使って赤字の額を増やしてたくさん還付してもらうという手法などは昔から繰り返されているようです。

※この度、所得税の改正通達があり、FXや暗号資産における経費の範囲が縮小されました。新しい情報はリンク先の記事をご参照下さい。
>>>『【悲報】FXや仮想通貨(暗号資産)の経費が認められなくなった?』

これをしていたら副業が事業所得に?

ここまで副業の所得を事業所等で申告する、無理のある節税事例のお話をさせていただきましたが、今回のお話でポイントになるのは「その所得は事業所得に該当するのかどうか」ということです。

弊社の過去のブログでも解説していますので、ご存知の方も多いかと思いますが、何か一部の条件が当てはまれば必ずしも事業所得になるわけではありません。

事業所得に該当するかどうかは、あくまでも総合的に見て判断されるものですので、以下にご紹介するような「◯◯していればOK」と断言するようなネット記事には注意するようにしてください。

開業届出していれば事業所得?

一番多いと言っても過言ではないのが、開業届出してるし、これで事業所得になるんですよね?という内容です。

弊社に寄せられるご相談でも多いのですが、「開業届を出したので事業所得として申告しようと思います」といった方がおられますが、開業届を出してる=事業所得と認められている、というわけではありません。

残念ながら、開業届を出すことは、私は税金納める人ですと税務署に宣言するだけです。

本来は事業を始めた時に提出しておくべきものではありますし、大きな声で言うものでもありませんが、極端な話、開業届を出さずに事業を始めても特に罰則は無く、提出しておくと申告書や納付書が送られてくるだけと言っても過言ではないのです。

青色申告承認申請書を提出していれば事業所得?

青色申告承認申請書を提出していなければ青色申告特別控除を受けることは出来ませんが、これも申請書の提出=事業所得と認められている、という事にはなりません。

条件を満たしていれば、申請書を提出することで特別控除が受けられますよ、というものです。

つまり、申請書を出すことが事業所得になる条件ではなく、事業所得(や不動産所得、山林所得)のある人は、申請書を出すことで、青色申告をし、特別控除を受ける事ができるということですので、考え方が異なります。

【関連記事】
『税理士が教えるFXを個人事業として青色申告することのリスクとは?』
『知らなかったでは済まない?FXは個人事業として青色申告できるか?』

FXや仮想通貨と一緒にやる副業は何所得になるの?

まず、以下のようなケースはどの所得で申告するのかすでに決まっていますので、雑所得として扱われません。

  • 副業アルバイト(給与所得)
  • 株の売買(譲渡所得)
  • マンション1~2室程度の家賃収入(不動産所得)

なので、上記は通常通り申告していただければと思います。

副業の所得について国税庁の判断は?

国税庁の雑所得について書かれているページを見た時に、以下のような記載があります。

雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得をいい、例えば、公的年金等、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料やシェアリングエコノミーに係る所得など)が該当します。

引用元:国税庁 No.1500 雑所得

つまり、副業の所得は雑所得に該当しますよとすでに書かれていますので、原則 雑所得であるFXや仮想通貨(暗号資産)の所得と一緒に、ネットビジネスなどの副業の所得も雑所得として申告することになります

この雑所得の基準も、事業所得として申告することが無理のある事だと考える要因の一つです。

事業所得で申告することが難しいのなら

ここまで、サラリーマンの方は副業を事業所得として申告することが難しく、無理のある節税対策になってしまいがちということを解説致しましたが、ではこの改正案が通った場合、今後出来る対策は何かあるのでしょうか。

会社を設立して副業を法人化してしまう

法人を設立し、法人として所得を得る形にしてしまうのも一つの方法です。

基本的に法人は利益を得るために事業を行うものですし、法人で得た所得は法人税というルールで税金を計算し、納税しますので、今回の所得税の改正(案)の影響はありません。

実際、弊社のクライアント様の中にも、会社員をしながら法人を設立され、FXや暗号資産などをされていて、一緒にせどりやアフィリエイト、YouTuberやシェアリングエコノミーといったネットビジネスをされている方も多くおられますが、法人なら投資と損益通算も可能です。

もちろん、法人化もメリットやデメリットがありますので、一概に何でも法人化すれば良いというものでもなく、状況によっては個人のままの方が良いというケースもありますので、事前に検討が必要ですが、

将来的に脱サラして商売をやっていこうと考えているような方などは、ご自身の状況を鑑みて、早めに法人化を検討するのも一つでしょう。

【関連記事】
『知らないと危ない?FX法人化のメリットとデメリットを専門家が解説』
『知らないと損?法人化して仮想通貨取引を行うメリットとデメリット?』

300万円以上稼いだら事業所得になる?

今回のパブリックコメントで改正案が出ているのは、副業の所得が300万円以下の場合のことですが、間違えてはいけないのは、300万円超えたら事業所得にしてもよいとは書かれていませんので、300万円超える=事業所得ではありません。

もし300万円を超えた場合は通常通り、それが事業かどうか総合的に判断する、という事に変わりはなく、あくまで副業なのであれば、先にお話した通り、原則雑所得ですので「300万円以下が雑所得になるなら、もっと稼いで事業所得にしよう」とはならない可能性の方が高いと言えるでしょう。

まとめ

今回は国税庁が発表したパブリックコメントから、実際に行われていたというサラリーマンの無理のある節税スキームが封じ込められるというお話を解説しました。

副業を推進するようなご時世であるものの、以前からなくならない税法のグレーな部分をついた節税方法がかなり横行し、それを税務調査で取り締まるのも限界なのか、今回の300万円ルールを敷くことで、多くの無理のある節税対策をしている納税者を排除したい考えかと思われます。

しかし、いわゆる本業が不振なため、仕方なくお勤めされているケースもあるでしょうし、これから起業するための資格取得をし、少しづつ本業から副業へシフトチェンジしようとしている方もおられるでしょう。

特に「複業」「兼業」と言われるような働き方をする人にとってはなかなか判断し辛い部分になるかと思いますので、間違って申告して後からペナルティを払うようなことになる前に、弊社に限らず、税理士などの専門家や、管轄の税務署等にご相談されることをお勧めします。

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