この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
投資専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
FXや仮想通貨、株式やバイナリーオプション等、投資の税金対策や法人化に精通。
有名トレーダーをはじめ全国の投資家らの税務顧問を多数担当し、専門誌での連載などメディア実績多数。
業務にはオンラインも活用し、北は北海道から南は沖縄の離島までクライアント実績を持つ。
毎月行っている無料相談会でお話を伺っていると、将来のことを見越してか、
「海外の業者を使って上げた利益は、税金を納めなくてもいいですよね?」
とおっしゃる方がたまにおられたり、他にも香港HSBC等の銀行で、海外口座開設をしての運用や、FXやバイナリーオプション以外の海外投資をされている方も結構おられるようで、いわゆる「オフショア」や「タックスヘイブン」と呼ばれている地域で投資をすれば、申告しなくても大丈夫などの情報を鵜呑みにされている方も多いようです。
ただ、実際にはそれは間違いの場合も多く、以前に専門家として週刊誌から取材を受けた時に、そういう方の記も書かせていただきましたが、知らなかったとしても脱税で摘発をされて、何年もかかってペナルティーの税金を毎月払わされている方も実際におられますので、そんなことにはならないよう解説していきます。
海外FXはもちろん申告が必要
個人口座でのFXを、海外業者を使って取引した場合は、もちろん日本で確定申告をする必要がありますが、その際、国内業者のように税率20%の申告分離課税は、一部を除いて適用されません。
なので、申告はもちろんのこと、レバレッジ規制を回避して海外口座を作ったけれど、結局税金が高くなって意味が無かったということにもなりかねませんので、事前に税金対策を含めて考えておく必要があります。
それらについてもまとめてありますので、以下をご確認下さい。
《関連記事》
「海外FX業者の税金はいくらかかるの?間違えたら税務署が来た!」
「海外のFX業者とレバレッジ規制との相容れない関係?」
「FX法人口座のレバレッジ規制を回避する方法とその注意点」
オフショアやタックスヘイブンなど海外での運用は申告不要?
そもそも日本の所得税法では、
「日本の居住者は世界中で得たすべての儲け(所得)を申告しなければならない」
と定められています。ただインターネット上では特にいい加減な情報も多く、アフィリエイト目的や、曖昧な情報を元に口座開設を勧めて、本人は紹介手数料を受け取っているという人も中にはおられるようです。
その多くは、海外業者を使えば、誰がいくら儲けたかを日本の国税庁は把握しにくい(つまりバレない)と説明される方も多いようですが、結論から言いますと、海外口座は日本の税務当局にバレにくいというのは一昔前の話で、現在は全ての情報が筒抜けです。その証拠の一部を順に解説していきます。
税務署が海外資産を把握している根拠とは?
国税庁が外国の税務当局へ頻繁に問い合わせをしている
実はここ数年、国税庁は資産の海外流出に目を光らせていて、高額な海外送金はすべて監視をしています。そして、租税条約に基づいて外国税務当局との情報交換を行っています。
これらの情報収集に国税当局がどれほど力をいれているかは、国税庁のホームページで公開されている「租税条約に基づく情報交換の要請件数」を見れば明らかで、
「日本の国税庁が外国税務当局へ要請した情報交換の件数」は、「外国税務当局から日本の国税庁へ寄せられた情報交換の要請件数」の3倍を超えています。
つまり「海外だから分かりづらい」という理屈は、既に通らないということです。
また、金融機関はお客さんが100万円を超える海外送金をした場合、税務署に報告する義務を負っていますし、実は平成26年(平成25年分)の確定申告からは、次にあげる「国外財産調書制度」というものも導入されました。
国外財産調書を提出する義務がある?
「その年の12月31日時点で国外財産の合計額が5,000万円を超える場合には、翌年3月15日までに国外財産の種類や数量などを記載した国外財産調書を、所轄税務署長に提出しなければならない」
という制度も平成26年から義務化されました。
これを見て「自分は海外に5,000万円を超える財産なんてないから関係ない」と思われる方も多いようですが、実は海外にないから安心というわけではありません。
これについても、かかるものや条件について、別途まとめていますので、詳しくは以下の記事をご確認下さい。
関連記事:「海外FXで必ず知っておくべき「国外財産調書制度」とは?」
国外への振り替えも監視している
高額な海外送金を監視・報告する体制や、租税条約の情報交換規定を整備し、外国の税務当局との協力体制を整えていることは、過去にも紹介させていただきましたが、他にも国税庁が海外への資産流出を意識していることを窺わせる制度として「国外証券移管等調書制度」というものがあります。
これは、平成27年1月1日以後、国境を越えた有価証券の振替等を行った証券会社等に「国外証券移管等調書」の提出を義務付けるものです。
国内の証券口座から海外の証券口座への株式等の移管や、海外の証券口座から国内の証券口座への受入れが対象となり、国境を越えて有価証券を運用した、利益に対する脱税等が把握しやすくなることが容易に想像できます。
さらに現在は、この調書にマイナンバーの記載欄が設けられるため、より一層情報収集が効率化されるでしょう。
関連記事:「マイナンバーでFXが会社にバレる?確定申告の方法と必要書類とは?」
この制度は有価証券に関するものですが、国税庁がどれだけ海外に対して目を向けているかということを皆さんに知っていただきたく今回ご紹介しました。
その他にも、1978年には「タックスヘイブン対策税制」というのも出来ていますので、詳しくはこちらもご確認下さい。
もし申告しなかった場合のリスクとは?
このように税務署は、海外でのお金の動きを把握する体制を整えてきています。実際過去にも、日本の税務署が、海外業者を利用したFXの利益を把握して摘発した事例もありますし、どうせバレないだろうとたかをくくっているのは非常に危険な行為です(以前にも書きましたが、税金は自己破産では免れず、一生をかけてでも払わされるので、捕まったある方は、今でも毎月巨額の税金納付のために働かされています)。
関連記事:「FXは確定申告をしないと脱税?実際にあった破産体験談とは?」
税金の世界では、無申告を税務署に指摘されてからでは、十分な節税対策を行うことは難しくなりますし、悪質な税金逃れと判断されてしまうと、本来、期限通りに申告しておけば100万円の税金で済んだものが、2倍の200万円近い金額まで膨れ上がってしまうなんてことも全く珍しくありません。
もちろん、そんな状態になってしまってからではどうすることもできませんので、FXに限らず、海外業者を利用して投資をしておられる方は特に、油断をなさらずお早めに動かれることをお勧め致します。
また、その他にも海外業者でのFXや投資に関しては知っておくべきポイントがありますので、以下もご確認下さい。
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(2013.12.12、後に一部改訂)
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