この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
投資専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
FXや仮想通貨、株式やバイナリーオプション等、投資の税金対策や法人化に精通。
有名トレーダーをはじめ全国の投資家らの税務顧問を多数担当し、専門誌での連載などメディア実績多数。
業務にはオンラインも活用し、北は北海道から南は沖縄の離島までクライアント実績を持つ。
FXのレバレッジが規制されて以降、毎月の無料相談会に来られる方や、弊社クライアント様の中でも、海外のFX業者に口座開設をされる方が増えてきました。海外業者なら400倍等のレバレッジを利かせられますので、リスク等も踏まえてトレードされるのであれば、特に資金の少ない方などは有利に運用できるでしょう。
ただ、気を付けておかなければならない点もいくつかありますので、今回はその辺りについて解説致します。
そもそもレバレッジ規制の背景とは?
そもそもレバレッジ規制が実施された背景ですが、表向きには一般投資家を守るためと言われていますが、実際の動きを見てみますと、必ずしもそうとは言えないような気がしています。あくまで予想ですので、確証があるわけではありませんが、それを知っておくことで、今後のリスク回避にも繋がるかと思いますので、順を追って説明していきます。
レバレッジ規制=リスクを抑えることにはならない?
「投資家リスクを抑えるためにレバレッジの規制を」と、金融庁等も表向きには公表していますが、実際にトレードをされている方からすると、レバレッジ規制をしたからと言って、投資家のリスクを必ずしも抑えられるわけではありません。
特に、マネースクウェア・ジャパンのトラップリピートイフダン(通称:トラリピ)のように、建玉を分散して保有する形のトレード手法や、含み損が出てもある程度保有をして、持ちこたえるようなスイング〜長期トレードのようなやり方をされている方の場合、レバレッジが低くなるほど余剰金が逆に減ることになりますので、むしろリスクは上がるとも考えられます。
なのでレバレッジ規制だけでリスクが抑えられているとは思わず、ご自身のトレードスタイルによって、レバレッジが高い方が有利なのか、低い方が安全なのかを考える必要があると言えるでしょう。
本来は国内投資への流入を見込んでいたが……?
あと巷でよく言われている話としては、FXは外貨為替取引ですので、国としては、国外へ資金が流れるより、国内で投資してもらった方が経済も活性化することから、FXを規制して、株や国債等への流入を見込んでいたものの、その思惑は外れて海外へ資金が流れていったという話もあります。
以前でしたら、海外業者の口座開設はハードルが高かったので、そういう予想も出来たかも知れませんが、現在はインターネットも発達し、各社日本語サポートデスクなどの用意もありますので、その思惑が外れてしまったのかも知れません。
海外FX業者へ圧力がかかった?
それを裏付けるように、大手で人気のあったFXCM社等、突如、日本人の顧客受付を停止した業者も出てきています。理由は「コンプライアンス上の問題」ということですが、日本の金融庁から圧力がかかったとの見方も強いようです。
税制の一本化が進んだのもそのため?
海外業者に圧力をかける一方、これ以上、資金が海外へ流れてしまうのはマズイということで、今後は国内の店頭FXの税制を、税率20%に一本化しようとしているのも、そのためかも知れません。
顧客の安全というよりはむしろ
サブプライムショックやリーマンショックなど、急な暴騰や暴落があった際に、顧客の資金を守るためとのことですが、実際、その時に被害を被るのは、実は取引業者ということが考えられます。
特に日本のFX業者は、ディーリングデスクが設けられ、顧客からの注文がある程度まとまったところでインターバンクと繋ぎ、換金するシステムが一般的ですが(つまり合法的にノミ行為を行っているわけです)、そのお陰で狭いスプレッドを提供できている一方で、急な為替変動の際には注文が追いつかず、業者が大損してしまうことにも繋がるようです。つまりレバレッジ規制とは、顧客の資金を守るというより、業者のリスクを回避するためとも受け取れるでしょう。
海外FX口座を開設する時の注意点とは
ここまでレバレッジ規制の背景について、思惑を含めてお話してきましたが、それらのことを踏まえて今後の流れを予想すると、やはり国としては海外への資金流出は嫌うでしょうから、
- 海外FX業者への圧力が高まる
- 更なるレバレッジ規制の恐れ
- 海外FX業者は税制優遇から外す
などのことが考えられるでしょう(あくまで予想ですので、必ずそうなるということではありません)。
ただ逆を返せば、リスクを理解した上で海外のFX業者を使うことは、それだけメリットが大きいということでもあります。では、口座開設前に抑えておくべきリスクとはどのようなものがあるでしょう?
両建て禁止の有無を確認する
海外のFX業者、特にアメリカ系の業者の中には、両建て禁止のところも多くあるようです。なので、スイングから長期トレーダーの方などで両建てを使った手法を使われている方は、事前に調べておく必要があるでしょう。
信託保全があるかどうか
国内業者の場合、信託保全は必須項目ですが、海外業者の場合は絶対条件ではありません。ただ、業者毎に信託保全を行っているところや、同様に、企業と顧客の資金を分けて管理しているところもありますので、もしもの時のために確認しておいても良いでしょう。
出金手続きがスムーズかどうか
金融庁としては、海外業者の場合、出金できないトラブルもあるので注意が必要と喚起していますが、色々と調べてみますと、海外のFX業者では、口座開設時や期間中に規定ロット以上の売買を行った場合、キャッシュバックやボーナスが受け取れるキャンペーンなどを頻繁に行っており、それも含めて出金依頼をしたが、それは元々入金した口座資金ではないため、その分は差し引かれたなどのケースも多いようです。
キャッシュバックボーナスキャンペーンの扱いについては以前にも書かせて頂きましたので、そちらを参照いただくとして、出金保証を謳っている業者もありますので、その辺りを判断基準にするもの一つでしょう。
最近では、ほとんんどの海外FX業者で、日本人が対応してくれるサポートデスクや、ホームページの日本語化なども進んでいますが、英語が得意でない方の場合は、これも判断基準に入れておくことで、もしもの時の対応も安心して行えるでしょう。
レート換算が必要な場合がある?
海外業者を使ったFXの場合も、確定申告がもちろん必要になってきますが、口座によってはドル建てやユーロ建てなど、円建てではない口座の場合もあります。円建ての場合はそのままで構いませんが、外貨建ての場合はそのままでは申告できないため、レート換算をする必要があるのですが、そのタイミングを間違えると税務署からペナルティーを課せられる可能性があります。
それに関してはこちらにまとめてありますのでご確認下さい。
関連記事:「間違えると恐い!海外FXのレート換算のやり方とは?」
税金のことも考えてトータルでの利益確保が必要
これは判断が分かれるところですが、過去の判例等も踏まえた弊社の見解としましては、個人で海外業者を使ってトレードした場合、今後も20%の申告分離課税は適用されないだろうと考えています(確定しましたので以下の関連記事をご確認下さい)。申告の手間や所得に対する税金の額を考えても、回避策として、法人をお持ちの方は法人口座でのトレードをされる方が、税金を考えた場合は有利に行えるでしょう。
《関連記事》
・「海外FX業者の税金はいくらかかるの?間違えたら税務署が来た!」
・「FX法人口座のレバレッジ規制を回避する方法とその注意点」
(2011.4.15)。
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろん相談されても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。