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FXや仮想通貨の経費

※この度、所得税の改正通達があり、FXや暗号資産における経費の範囲が縮小されました。新しい情報はリンク先の記事をご参照下さい。
>>>『【悲報】FXや仮想通貨(暗号資産)の経費が認められなくなった?』

毎年、確定申告の時期になると、弊社へ寄せられる質問の内容も、節税に関するご相談が一気に増えてきます。

結論から申しますと、個人口座でトレードをしている投資家の方々にとって、節税の基本はまず「必要経費をしっかりと適正に計上すること」が第一歩となります。

ただ、必要経費については、聞く人(ところ)によって結構、回答が異なることもあり、「どれが正しいのかわからない」「結局何が経費になるの?」といった声もよく耳にします。

また、インターネット上の不確かな内容等を鵜呑みにして、間違った申告をしてしまう方も結構おられるようですので(税法は毎年変わりますし、税法の専門家ではない人が書いているものも多々あります)、今回は、確定申告でしっかりと適正な経費計上ができるよう、基本的なことから解説してみたいと思います。

 

FXや仮想通貨に必要経費はない、って本当?

税金についてわからないことがあるとき、1つの解決策として、税務署へ相談してみるという方法があります。しかし、弊社の無料相談会に来られた方の話を伺っていると、

「税務署に聞いたら、FXに経費なんてないと言われました…」

ということをおっしゃる方が結構おられます。

税務署では確定申告書の書き方などは教えてくれますが、残念ながら節税の仕方までは教えてくれません。

取引手数料のように、明らかに経費と考えられるものについては、経費に計上できると言ってくれるかもしれませんが、税務的な判断が必要なものについては、無難に「経費ではありません」と言われてしまうことが、多々あるのが実情です。

税法上の必要経費の定義とは?

では、FXや仮想通貨(暗号資産)では、何が必要経費として認められるのかですが、そもそも税法上、必要経費として認められるのはコレとコレですといった具体的な決まりはありません。

FXや仮想通貨の所得は、所得税法上「雑所得」という種類の所得に該当するのですが、雑所得の必要経費について定めた所得税法第37条を確認してみると、

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。

引用:所得税法第37条第1項より一部抜粋

となっており、FXや仮想通貨で利益をあげるために直接要した費用の額については、必要経費と考えることができるのです。

国税庁も仮想通貨(暗号資産)の必要経費を認めている?

平成30年11月に国税庁から「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」というものが公開されていますが、実はその中に必要経費について記載された箇所があります。

仮想通貨の売却による所得の計算上、必要経費となるものには、例えば次の費用があります。

  • 売却した仮想通貨の取得価額
  • 売却の際に支払った手数料

このほか、インターネットやスマートフォン等の回線利用料、パソコン等の購入費用などについても、仮想通貨の売却のために必要な支出であると認められる部分の金額に限り、必要経費に算入することができます。

(中略)

この必要経費に算入できる金額は、1)総収入金額に対応する売上原価その他その収入金額を得るため直接に要した費用の額及び 2)その年における販売費、一般管理費その他その所得を生ずべき業務について生じた費用の額です。
なお、必要経費については、次の事項に注意してください。

(後略)

引用:仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)より一部抜粋“

これは仮想通貨(暗号資産)に関するFAQですが、本文中に雑所得の必要経費である旨の記載がありますので、FXについても同様に考えて差し支えないものと思われます。

但し、国税不服審判所で必要経費が認められなかった事例がある?

前項、前々項で説明した定義等に基づき、弊社のブログでも過去に、必要経費と考えられるものの具体的な例として

  • 通信費(投資に使った分)
  • 電気代(投資に使った分)
  • セミナー代
  • それにかかる交通費

などを挙げさせていただいたことがありますが、実は税務調査で決着がつかず、国税不服審判所で必要経費について争われ、結果、パソコン購入費、通信費、交通費などがFXの必要経費として認められなかった事例があります。

「それなら、結局FXや仮想通貨に必要経費はないの?」

と疑問に思われるかもしれませんが、この事例においてなぜ必要経費と認められなかったのか、その理由を少し確認してみましょう。

少し難しい内容になりますが、裁決内容によると、

ある費用が必要経費に当たるといえるためには、当該支出が所得を生ずべき業務と直接関係し、かつ、業務の遂行上必要なものであることが要件とされ、この判断は、単に業務を行う者の主観的な判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行わなければならないと解される。

家事関連費については、当該費用が業務と何らかの関連があるというだけでは足りず、それが所得を生ずべき業務の遂行上必要なものであり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合に限り、その部分が必要経費に算入されると解される。

支出の事実を確認することができないこと、業務の遂行上必要な部分を合理的に区分することができない家事関連費であること、業務との関連性が明らかでないことのいずれかに該当することが認められるから、各支出を雑所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

引用:平成25年3月7日裁決 大裁(所)平24-58より一部抜粋

※家事関連費とは、生活にもトレードにも使っている費用のことです。

国税不服審判所の文書なので固い表現が並んでいますが、要約すると、FXに必要経費がないと言っているわけではなく、

  1. 費用を支払ったことが確認できない(レシート等が保管されていない)
  2. 通信費や電気代など生活にも使っている費用について、生活部分とトレード部分が明確に区分できない
  3. 費用を支払うこととトレードの直接的な関連性が明確でない

に該当することから、必要経費と認められないと判断されているわけで、逆に言えば、必要経費を計上する際には、これらのポイントをしっかり押さえておくことが重要だと考えることが出来るでしょう。

まとめ

よく「領収書があれば経費になりますか?」と聞かれることがありますが、それだけでは不十分だということを、上記の裁判例をみてもご理解いただけたかと思います。

必要経費について説明させていただいている、弊社の過去のブログ記事でも、

トレードで収益をあげるために直接関連があることをしっかりと説明できる形で、資料を保管しておくことや、

トレード専用として利用していないものについては、全額を経費として計上するのではなく、トレードに利用した割合で合理的に按分して経費計上する必要があることを、

常々お伝えさせていただいております。

皆さんも確定申告にあたって必要経費を計上する際には、今回紹介したポイントをしっかり押さえて、適正な申告ができるようご注意くださいね。

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