この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
投資専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
FXや仮想通貨、株式やバイナリーオプション等、投資の税金対策や法人化に精通。
有名トレーダーをはじめ全国の投資家らの税務顧問を多数担当し、専門誌での連載などメディア実績多数。
業務にはオンラインも活用し、北は北海道から南は沖縄の離島までクライアント実績を持つ。
テレビのCM等でも流れているのでご存知の方も多いかも知れませんが、最近では、楽天ポイントやTポイント、dポイントなどを使って、株式などの投資を行う「ポイント投資」というものがあります。
通常、投資というと現金を元手に運用するイメージが強いですが、ポイントを元に運用して増やしていくのが、この「ポイント投資」です。
運用して増えるとなると、もちろん税金のことを考えておく必要がありますが、お金ではないポイントを運用した場合にも確定申告や納税は必要になるのでしょうか?
今回はそんな「ポイント投資」に関する税金の考え方について解説していきたいと思います。
Tポイントや楽天ポイント等で行う「ポイント投資」とは?
近頃は、ネットショッピングだけでなく、スーパーやコンビニ、飲食店等で支払いをしても、様々なポイントが付与されるかと思います。
もちろん、その店の独自のものもありますが、先ほど述べた、「Tポイント」や「楽天ポイント」、「dポイント」など、大手が出している共通のポイントなども、今や非常に身近なものだと言えるでしょう。
通常、投資というのはお金を運用するのが一般的ですが、ポイント投資では、そういったポイントシステム、主にはクレジットカードを使ったり、買い物をしたときにもらえるポイントを運用して、そのポイントを増やしたり、利益を得る仕組みになっています。
ポイント投資には種類がある?
お金の代わりにポイントを運用するポイント投資ですが、その種類は大きく2つに分けることができます。
ポイントのまま運用する
1つは、ポイントをそのまま運用するタイプのものです。
これは実際に金融商品を購入するのではなく、現実の相場(株価など)に連動してそのポイント数が変動する仕組みで、本物の投資を疑似体験することができます。
楽天ポイント運用やdポイント投資などがこれに該当します。
ポイントを現金化して運用する
そしてもう1つは、ポイントを現金に変えて運用するタイプのものです。
こちらはポイントを現金に変え、その現金で通常の金融商品を購入するため、運用が終了したときには現金で払い戻されることになります。
元手(現金)ゼロで投資をスタートできることから人気が上がっているようで、楽天証券のポイント投資信託や、SBIネオモバイル証券のネオモバなどがこれに該当します。
ポイント投資で得た利益には税金がかかるの?
通常、投資で得た利益に対しては税金がかかりますが、ポイントを運用して得た利益に対して税金はかかるのでしょうか?
結論から申しますと、お金(法定通貨)でなくとも儲けが出れば、原則的には税金がかかると考えた方が良いでしょう。
ただ、税法上は出た儲けの種類(所得)によって様々なルールを定めているため、ある一定の条件を満たせば税金がかからないといったこともあります。
そこで前項で説明した「ポイントをポイントのまま運用するタイプ」と「ポイントを現金に変えて運用するタイプ」のそれぞれに対して、具体的に解説してみたいと思います。
ポイントのまま運用する場合の税金は?
実はポイントの取扱いについて、税法では明確な規定がありません。
ただ、明確に規定されていなければ税金がかからないかというとそうではなく、現行の税法にポイント投資の仕組みを当てはめて考えることになります。
ポイントをポイントのまま運用する場合、「雑所得」もしくは「一時所得」と考えられます。
そもそも「雑所得」と「一時所得」の区分は微妙なところがありますので、実際の現場での話を致しますと、実は税務調査などでもしばしば揉めることが多く、
「ポイントのまま運用=雑 or 一時 所得のどちらか」
と言い切るのは、税法の観点からも難しいところです。
そもそも条文上、雑所得とは、
「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。」(所得税法第35条第1項)
とされており、一時所得とは、
「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた、所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」(所得税法第34条第1項)
とされています。
つまりポイントは、
- 営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得かどうか
- 労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有していないかどうか
です。
ちなみに、ポイント投資について説明している多くのブログ上では、ポイントのまま運用した場合の所得は「一時所得」であると言い切っているページが多いように認識はしております。
ただ、投資における税金の専門家としては、投資行為として運用していることと、前述の2つのポイントを考慮すると、必ずしもすべてのケースが一時所得に該当するかは、慎重に判断する必要があると考えます。
尚、余談ですが、類似のケースとして、ある所得が一時所得なのか雑所得なのかで揉めて裁判になった事例もありますので、興味のある方はご参照下さい。
関連記事>>>『投資競馬(馬券)裁判に見るFXの税金徴収の実体とは?』
現金化して運用する場合の税金は?
ポイントを現金に変えて運用するタイプは、お金(法定通貨)で行う通常の投資と同じ取扱いになります。
つまり、投資する金融商品毎にルールが定められていて、上場株式や投資信託であれば、譲渡所得(分離課税)として一律20.315%の税金がかかります。
ちなみに利益が出れば税金がかかりますが、確定申告については、特定口座で源泉徴収ありと源泉徴収なしのどちらを選択しているかによって、その取扱いが変わります。
株や投資信託の税金については別の記事で詳細に紹介していますので、よろしければそちらをご参照ください。
関連記事>>>『知らないと損?株の税金の計算方法と確定申告の効果的な対策とは?』
まとめ
ポイント投資で、ポイントのまま運用しても、現金化して運用しても、利益が出れば基本的には税金がかかることになります。
しかし、ポイントのまま運用する場合は、その運用状況によっては一定額までは税金がかかりませんし、現金化して運用するタイプでも、NISA口座を利用すれば一定額までが非課税になります。
自分の現金を使って行う投資よりも、気軽に始められることがメリットのポイント投資ですが、利益がたくさん出るようになれば、当然税金を多く納める必要が出てきますので、その時になって慌てることのないよう、最低限の準備はしておくようにしましょう。
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