レバレッジ

以前のメルマガやブログ記事でも少しご紹介しましたが、金融庁は2017年頃から、個人口座では最大25倍だった国内店頭FXのレバレッジを、早ければ2018年には10倍に引き下げようという検討を行っていました。

結論から申しますと、今回、この引き下げは見送られたわけですが、その内容を読んでいると、これまでお伝えしてきた通り、金融庁の裏の思惑が色々と見て取れますので、この先の動向もある程度予想できるでしょう。

また、認識されている方が少ないように感じますが、実は「レバレッジ」と「税金」というのは非常に関係が深く、後から予想以上の納税額を見て驚いた、というご相談もよく頂きますので、今回は弊社のクライアント様である現役の投資家さん達に、今回の件についてお話を伺ったものをまとめましたので、今後の動向と気を付けるべきポイントも含めて紹介していきましょう。

 

そもそも利用者保護が目的と金融庁は言うが……

さて、今回の店頭FXにおけるレバレッジ規制の見送りについて、大手もニュースで取り上げています。

関連記事>>>ブルームバーグ

元々、個人口座における国内店頭FXも、100倍や400倍などのハイレバレッジ取り引きが可能でしたが、金融庁は段階的にレバレッジ規制を行い、50倍、そして現在の25倍となり、今回10倍の検討を行っていました。

ちなみに法人口座に関しては、それに遅れる形で100倍になり、そこから週ごとの変動式となり、一部の業者を除いては、大体50倍前後のレバレッジとなっています(2018年6月現在)。

その理由として金融庁は「消費者保護」と謳っていますが、果たして本当でしょうか?

ハイレバレッジが危険なわけではない!

これに関しては過去のメルマガでも何度か書かせて頂いていますが、そもそもハイレバレッジが危険なわけではない!というのが、今回お話を伺った、実際に日々トレードされている現役トレーダーさん達の揃った見解でした。

  • 「危険なのはハイレバレッジなのではなくリスク管理が出来ていないことだ」と。そして、
  • 「レバレッジには2種類あって、業者が提供しているレバレッジを規制したところで、もう一つのレバレッジであるリスク管理が出来ていなければ意味がないのだ」と。

これに関しては、弊社サイトのTOPページからダウンロードして頂ける無料レポートにも詳しく解説されているので詳細は譲りますが、ご自身の証券口座に入っている資金から、今どれだけポジションを保有しているかの割合を管理せずに、業者側の提供レバレッジだけを下げたところで、全く意味がないということです。

つまり今回、規制を見送った理由としてあげている

金融庁は決済リスク管理についてはストレステストの精緻化と自己資本規制比率の徹底で当面対応できると判断。

という部分がこれにあたると思われます。

本当に利用者保護を考えるならゼロカットにすべき!だが……

当然、業者が提供するレバレッジを下げることで、万が一、ストップ注文を入れないまま、相場が思惑の反対方向に動いた場合は、レバレッジが低いことで想定外の損失の額を少なくすることは出来るかも知れません。

でもそれは、そもそもリスク管理を行っていないことが問題なわけで、そんなギャンブル的なやり方では、長期に渡って利益を上げ続けられるとは思えません。

なぜならば、相場には急な変動がつきものですから、常にそれに備えておく必要があるわけです。

ではそういった時に、本当の意味で投資家を守るのに有効な方法として、現役投資家さん達が口を揃えておっしゃるのに「ゼロカット方式」があります。

どういうことかと言うと、通常、相場が注文とは反対方向に動いて余剰金が少なくなってくると、業者によっては追い証を求められたり、ロスカットになりますが、ロスカット比率によって、その後も多少の資金がプラスで残るようになっています。

但し、以前あったスイスショックの時など、急な暴落の場合にはスリップして約定が追いつかず、口座資金がマイナスになるということが稀に起きます。

そういった時でも、マイナス部分は請求されずにカットされ、プラマイゼロになるというシステムです(つまり口座に入れた資金以上にマイナスになることがない)。

最近では有名な海外業者などは、このゼロカット方式を採用しているところも多く、世界的にはメジャーになりつつありますが、残念ながら国内業者の場合、金融商品取引法で「損失の補填」が禁止されているので、ゼロカット方式を採用できないというのです……。

国内FX業者は呑んでいる?

前章で、金融商品取引法で、損失の補填が禁止されているからゼロカットに出来ないと書きましたが、この金融商品取引法の第2条で「店頭デリバティブ取引」について決められています。

条文には難しい言葉が並んでいますが、要するに、取引所取引である株式や、くりっく365とは異なり、顧客と業者が一対一で相対取り引きをする店頭FXの場合、極端なことを言うと、業者は全ての顧客に同時に同じレートを配信しているとは限りません(していないと言っているのではなく、定義上の話です)。

一般的に、業者は顧客から注文が入ると、インターバンクに取り次いで、そのスプレッドで儲けていると思われがちですが、店頭FX業者の場合はインターバンクに直接繋いでいるわけではなく、間にディーラーが入って、要は顧客からの売り注文と買い注文を一旦社内で呑みこんで、より有利なレートではき出すことで、低スプレッドでも利益が出るようにしていると言われています(DD(Dealing Desk))方式)。

なので数年前には、レートに達していないのに損切りさせられる、いわゆる「ストップ狩り」というのが噂になり、要は瞬間的にディーラーが値を動かすことで、業者に有利なようにコントロールしているのではということで、実際、それが発覚して行政から処分を受けた業者もありました(現在では取り締まりが強化されていると聞きます)。

つまり、店頭FXというのは言い方を変えると、業者が合法的に呑み行為が出来るようになっているとも解釈できますので、インターバンクに直結していない業者だと、相場が急変動した時にディーラーが注文をさばけず、リスクが大きくなることから、ゼロカット方式を採用できないのでは?ということです。

では、DD方式をやめれば良いのでは?と思われるかも知れませんが、現在の日本では、低スプレッド競争が激しいため、なかなかそれも難しいと言われており、ほとんどの業者はDD方式なのが現状です。

ちなみに国内業者でスキャルピング禁止の業者が多いのも、同じくディーリングディスクを通している店頭FX業者だと、注文がさばけないからだと言われています。

レバレッジ規制は実は消費者保護が目的ではない?

話が横道に逸れましたが、恐らくそういった理由から、本来、消費者保護に効果的なゼロカット方式を採用していない国内業者が多いわけですが、ではなぜ、金融庁はレバレッジを規制したいのでしょう?

「消費者保護」より「FX業者保護」のため?業者にとっては暴落時のリスクが減りますので、もちろんそれも考えられるでしょうが、投資専門の会計会社として、多くの投資家さん達から集まってくる話としては、金融庁としては、国内市場に資金を増やして景気を上げるために、為替相場から株式相場に移って欲しいというのが、恐らく一番の目的でしょう。

なので、個人の場合は過去にレバレッジ規制を2度行ってきたわけで、それで多少の思惑通りの結果も出たのかも知れませんが、実は想定外の動きもあったと聞きます。つまり、

レバレッジ規制を行った → (予想)為替相場から株式相場へ資金が流れるだろう

(実際には)レバレッジ規制のない海外業者へお金が流れていった

金融庁は焦って海外業者の締め出し規制を行った(取り引き規制や税制の問題)

一昔前は、海外業者に口座を作ろうと思うと、英語で書類を作成したりと一苦労でしたが、最近では日本語のカスタマーサービスも充実していて、比較的簡単に開設出来てしまいます。

なので実際に取り引きしているわけではないお役人は、こういうことを想定できなかったのかも知れません。

それを裏付けるのが今回、レバレッジ規制10倍を見送った理由の一つ、

証拠金倍率の引き下げについては、有識者会議の中でより高い倍率で取引できる海外業者に顧客が流れるという問題提起がされたほか、証拠金倍率20-25倍が主流の仮想通貨取引に顧客を奪われる可能性もあり、

消費者保護を謳いつつ、本音を言っちゃってますが……、これが実際の理由だと思われます。

恐らく海外FXはもちろん、仮想通貨に流れていくと、金融庁にとっては余計に厄介なのでしょう。

海外FX業者はNDDでレバレッジ規制もなくスキャルピングOKも多いが注意が必要!?

ここまで、レバレッジ規制の見送りやスキャルピング禁止、更にはそれらの原因であるDD方式ですが、海外のFX業者の場合は、ディーラーを介さずインターバンクと直結しているNDD(No Dealing Desk)方式の方がむしろスタンダードだと言われており、現在でもレバレッジ400倍以上のところやスキャルピングOKの業者も多くあります。

ただ一方で、国内業者と比べて多少スプレッドが広いところもありますが、最近ではXMや、以前レビューをご紹介したAXIORYなど、通貨ペアによってはスプレッドが0になることもあるナノスプレッド口座もあり(その場合は手数料が必要)、弊社のクライアント様の中でも使われている方が多くおられます。

最近では日本語デスクも充実していて、メールの他にチャットでもリアルタイムに質問できたりと、国内業者とほとんど変わらない使い勝手だと言われていますが、一つだけ気を付けておかないといけないのは、「課税方式の違い」と「円換算」です。

簡単に説明すると、海外FXの場合は一部を除いて、国内の個人のように、一律20%の税率ではなく、最大55%の総合課税になるのと、ドル建てなどの場合は、円換算して申告をする必要が出てきます。

これを知らずに取り引きを始めて、あとで税額を見て驚かれたり、確定申告で大変な目に遭われるという方が、毎年確定申告の前になると結構おられるのです。

もちろん回避する方法がありますので、詳しくは以下の関連記事をご参照下さい。

《関連記事》

・『海外FX業者の税金はいくらかかるの?間違えたら税務署が来た!』
・『専門税理士が教えるFX法人でよくある失敗と具体的な解決法とは?』
・『FX法人口座のレバレッジ規制を回避する方法とその注意点とは?』
・『海外のFX業者とレバレッジ規制との相容れない関係とは?』

まとめ

さて今回、個人における国内店頭FXのレバレッジ10倍規制の見送りから、その思惑や今後の流れ、またそれに係わる税金についてなどを見てきましたが、今後も

  • レバレッジを規制する流れ
  • 個人の海外FXに関しては、申告分離課税の20%ではなく、他の総合課税の所得と合算し最大の55%

この流れは続いていくでしょう(レバレッジが規制されるという意味ではなく、緩くなる方向になっていくことは考えづらいということです。もちろんあくまで予想です)。

なので、それらを回避するために、国内の法人口座や、海外FXを使われる方も多いかと思いますが、特に海外FXの場合は、金融庁に登録のない業者の場合(つまりレバレッジ規制外の業者の場合)、そのまま個人で取り引きすると、申告分離課税の一律20%ではなく、総合課税の最大55%になりますので、あらかじめ海外FXでも使える節税対策の方法や、ドル建ての場合は円換算などの申告の手間を回避する方法などをセットで考えた上で、最終的に手元に残る資金が減ることのないようにして、始められることが重要だと言えるでしょう(2018.6.5)。

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