この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
投資専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
FXや仮想通貨、株式やバイナリーオプション等、投資の税金対策や法人化に精通。
有名トレーダーをはじめ全国の投資家らの税務顧問を多数担当し、専門誌での連載などメディア実績多数。
業務にはオンラインも活用し、北は北海道から南は沖縄の離島までクライアント実績を持つ。
先日、ある日本人のトレーダーが脱税容疑で逮捕されました。
http://zai.diamond.jp/articles/-/127278
各方面で流れましたのでご存知の方も多いかと思いますが、弊社代表の堀が、FXの税金に関する第一人者として『週刊SPA!』様からも取材をいただき、記事も掲載されました。
FXで破産された方や、FXは確定申告をしなくてもバレないと思っている方など、色んなパターンを見ていますと、本人が知らない間に脱税をしてしまっていて、悲惨な目に合われているケースもありますので、今回はFXの破産や脱税、また確定申告しなかった時のリスクについて解説します。
FXの申告漏れは必ずバレる!
今回の事件でまず指摘されていることは「FXの利益が申告されていなかった」ということが挙げられます。これはハッキリ言って確信犯ですが、弊社のメールマガジンを読まれている皆さまには何度もお伝えさせていただいております通り、FXの申告漏れが税務署にバレないということはまずありません。
現在では、FX業者(証券会社)から国税庁へ、誰がいくら利益をあげているかという内容を報告することが義務付けられていますし、証券会社や銀行に調査官が照会をすれば、証券会社や銀行はすぐに明細を提示します。
実際、弊社が立ち会ったFXの税務調査でも、調査官が実地調査に来た時には、完全にターゲットとなる納税者の取引内容を把握していました。また少しでも疑問な点があれば、「銀行(証券会社)に裏を取りに行きますね」と言ってきます。
では普段、無料相談会等でお話を伺っていて、どういった間違いがあるのかを具体的にご紹介していきましょう。
少額でも税務署は来る!
たまに「少額であれば税務調査には来ない」といった情報がインターネット上に書かれていたりしますが、実際には数十万の利益でも調査官が調査にくることもありますし、大体秋頃になると、税務署から「お聞きしたいことがありますので税務署までお越し下さい」といった連絡が入る方もおられ、それらの連絡が来てから弊社へ相談して来られる方も結構いらっしゃいます。
単に泳がされているだけ?
今までFXの確定申告をしたことがないが、税務署から連絡もないし、自分は大丈夫だろうと思われているとしたら、それも大きな間違いです。税務署は、効率的にまわれるよう、調査に入る場合、3年ほどの資料をまとめてやってくることが多々あります。なので、バレていないのではなく、単に泳がされているだけということも実際にはよくあります。
FX口座の種類は関係ない
税務調査と聞くと、会社に来るイメージをお持ちの方も多いようで、入るとしたら法人口座でFXをしている人だけだろうと勝手に思われている方もおられるようですが、個人口座でも、法人口座でも関係ありません。先ほども申しましたが、金額もあまり関係ありませんので、そう思われている方がおられましたら勘違いです。
FXの税務調査に関する内容は、以下の関連記事にまとめていますので、あわせて確認するようにして下さい。
関連記事:「知らないと恐い?FXの税務調査の実体を教えます」
海外に逃げてもダメ。税務署は把握している!
よく、利益が大きくなったら海外に移住をとおっしゃる方がおられますが、それもいい加減な内容が多くあります。
ネット上でも、シンガポールやマレーシアなど、日本より税率の低い国に移住したり、その国に法人を設立し節税するといったことが書かれているのを目にしますが、我々専門家から見れば、それらは「節税」というより「脱税」といえるのではなかろうかという内容が非常に多くあります。
ポイントとして、海外に移住するという点では、確かに税法上の「非居住者」になれば、日本での納税の義務はなくなりますが(一部、日本で納税しなければならないケースもあります)、残念ながら、日本の非居住者になることは、そう容易ではありません。
例えば住民票を海外に移して、居所(家)を現地に用意し、日本にはバカンスで来ていることにすればいいといった内容を目にしたこともありますが、いくら形式だけを整えても生活実態が日本にあるようでは、日本の非居住者とは認められません。
また、海外に法人を設立して……という方法についても、条件によっては単なる課税逃れとしか判断されないでしょう。
よく海外投資の話で出てくる謳い文句にも、日本より著しく税負担の軽い地域や国(タックスヘイブンやオフショアと言います)で、税負担を軽減するといった方法を目にすることがあります。
しかし、税法の中には「タックスヘイブン対策税制」という税制があり、そう簡単には課税逃れが出来ないように、しっかりと対策がとられているのが現実です。
その辺りの詳細は、以下の関連記事にまとめていますので、あわせてそちらも確認いただくとして、税理士などの専門家が言っているものではない、出所がはっきりしない情報や、多くの方が言っている(書いている)からというだけで、いい加減な情報を鵜呑みにするのは大変危険なことだと覚えておきましょう(恐らく今回の記事の事件も、誰かに「シンガポールは税金が安いし移住すれば大丈夫」とでも言われたのでしょう)。
関連記事:「オフショアやタックスヘイブンでの税金は間違えると脱税になる?」
破産しても許されない!FXの脱税をした場合のペナルティーと対処法とは?
今回の週刊SPA!様に記載されている内容でもそうですが、脱税をしてしまうと、加算税や延滞税、罰金などそのペナルティーは相当なものです。
先日もテレビで、以前は六本木ヒルズに住み、ランボールギーニを乗り回していた元FXトレーダーが脱税で捕まり、数億の追徴をされ、現在はスクラップの仕事をしながら、毎月100万円ずつ、今後20年に渡って税金を支払うことになった人が出演していました(弊社のDVDでもお伝えしていますが、脱税に対して課される税金は自己破産しても逃れられません)。
この仕事をしていると常々思うのですが、適切に節税していればよかったものの、申告漏れや脱税をしてしまったがために、本来納める税額の倍近くのお金を支払わなければならなくなるといったケースは多くあります。
このような記事やニュースに取り上げられるのは、何億といった金額なので、自分には関係ないと思ってらっしゃる方もおられるかもしれませんが、無料相談会へ来られる方の中には、実際には少額でも調査が入り、大変な思いをされている方も実際におられます。
FXの確定申告をしなかった場合の具体例
昨年も秋頃に「税務署からお尋ねのハガキが届いたんですが……」というご相談が、弊社へ多数寄せられました。
個人で少額のところにもいってますので、油断は禁物です。ではもし、しっかりと申告をせずに後から調査などで指摘をうけると、具体的にどれくらい税金に差がでるのでしょう?
Aさんは今年FXで500万円の利益が出たとします。
本来、しっかりと申告をしていれば、税額は20%の100万円で済みます(今回は敢えて節税対策は考えないこととします)。
しかし、まぁ世の中にはもっと稼いでいる人もいるし、これくらい大丈夫だろうと申告をしないでいたら、3年後に調査が来て、FXの利益を申告していないことが指摘され、税金を納めなければならなくなったとしましょう(通常、調査は2~3年くらい経ってからくることが多いです)。
もちろん本来納めなければならない100万円を納めることは当然なのですが、後から指摘されることにより、これに加えて罰金としての税金がかかってきます。
まずAさんは申告をしていないわけですから、無申告加算税という税金が、本来納めるべき税額の15%(納付すべき税額が50万円を超える部分は20%)かかります。
本来納める税金は100万円ですので、
50万円×15%+50万円×20%=175,000円
ですね。
さらに延滞税といった利息のような税金が年14.6%かかります。この延滞税は後述の重加算税がかからない場合、1年分がかかってまいりますので、
100万円×14.6%=146,000円
となり、
175,000円+146,000円=321,000円
どうでしょう。期限内にしっかり申告しておいた場合に比べ、32万円も余分に
納めなければならなくなってしまいます。さらに、もし申告していないことが悪質と判断されると無申告加算税ではなく重加算税という税金が課されます。
重加算税は無申告の場合、本来納めるべき税額の40%なのですが、重加算税が課されると、先ほどのAさんの例では、まるまる3年分の延滞税がかかってきますので、
100万円×40%+100万円×14.6%×3年=838,000円
となり、実に本来収める税金の2倍近い税金を納めなければならなくなるのです。
もちろん、それから「助けて下さい……」と来られてもどうすることも出来ませんし、税金は自己破産しても免除にはなりません。皆さんもそんな悲惨なことにならないよう、期限内にしっかりと申告されることを心からお勧めいたします。
特に税制は毎年変わりますので、ネット上に書かれていることは、以前は正しくても現在は異なっていることもよくあります。また、申告期限が過ぎてからでも対処することは可能で、ご本人が行かれなくても、弊社で代行させて頂いた実績もありますので、万が一、自分は確定申告していなかったという方がおられましたら、税務署が指摘してきてからではペナルティーの対象となってしまう為、必ずその前に対処するようにして下さい(2012.4.12)
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろん相談されても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。