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FX税金

海外FX業者の税金はいくらかかるの?間違えると税務署が来た!

2012年の1月1日からFXに関する税制が改正になり、店頭取引(相対取引)のFXと、くりっく365の税制が申告分離課税に一本化され、一律20%の税金となりました(法人は異なります)。

国内の場合はその通りなのですが、弊社の無料相談会等でよくご相談いただくのは

「海外のFX業者に対しても、この個人の申告分離課税は適用されますか?」

というご質問です。後に対策も含めてご紹介しますが、ご相談者の中にはこの申告を間違えて、税務署から連絡が来たという方も実際におられました。

今回はそんな海外FXの税率についてと、税務署への対策法を解説していきます。

 

海外FX口座の税金も申告分離課税の20%になる?

海外のFX業者を使った際の税率については、レバレッジ規制が行われた時と、あと国内における個人FXの税率が一本化された当初より、非常に多く頂いておりました。

実はこれらの改正の際には、海外FXの税率について明記されていたわけではなく、専門家の間でも意見が分かれており、税務署に聞いたが分からないと言われたという相談者の方も多くおられました。このような場合、それらを判断するには重要なポイントがあります。

税務署に聞いても意味が無い?

実は税務において、国税庁の見解が必ずしも正しいとは限りません。これは一般の方はもちろん、税理士さんや会計士さんでも、その辺りのことを理解されていない方も多いようですが、もちろん見解を無視して良いものではありませんけれども、それが正しいかどうかを決める権限は、実は国税庁にはありません(もちろん税務署にもありません)。

なので、この段階で税務署に聞いても正しい回答が返ってくるわけはなく、大切なのは今回、上記の改正内容として、具体的には「租税特別措置法第41の14」が該当条文となりますので、これを見て判断いく必要があるということです。

但し条文だけで判断をするのは危険?

少し難しい内容になり恐縮ですが、条文では、申告分離課税の対象となる取引に関して、

「金融商品取引法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引で同項に規定する店頭デリバティブ取引に該当するものをいう」

と定めておりますので、対象となる取引についてはその判断を税法ではなく、金融商品取引法に委ねられているということになります。ただし、判断をする根拠として、条文だけを見ていては間違える可能性があります。

重要なのは金融商品取引法の目的にある?

その金融商品取引法(金融商品取引法第2条第22項)はというと、

「この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引をいう」

となっていますので、同法の適用を受ける取引であれば、国内・国外の業者によらず、今回の租税特別措置法の改正で定められた金融商品取引法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引で同項に規定する店頭デリバティブ取引に該当し、申告分離課税(一律20%の税率)の対象となると考えることもでき、そうおっしゃっている税理士さんや会計士さんもおられます。

ただ、金融商品取引法は日本の投資家保護等を目的としており、同法では日本に住んでいる者に対して金融商品を販売する業者については、国内外の業者によらず金融庁に登録することを義務付けています。

そのため、金融庁に無登録の業者が行うFX取引については、昨年までと同じ総合課税が適用されるという考え方ができることと、他の税理士さんや会計士さんは、税法しか見られてない方も多いようですが、弊社では法務を確認することも非常に重要だと考えておりますので、過去の類似した判例など合わせて鑑みた結果、弊社としては、金融庁に未登録の海外業者については、総合課税(他の所得と合算して最大55%の税率)として申告するのが良いでしょうと、当初よりお伝えして来ました。

遂に海外FX口座を使った税金について結論が出た!

先ほどの「租税特別措置法第41条の14」には、申告分離課税の対象となる取引に関して、未登録の海外業者に関しては明記されていませんでしたが、平成28年の改正で、

「金融商品取引法第2条第22項第1号から第4号までに掲げる取引で、同項に規定する店頭デリバティブ取引に該当するもの(第三十七条の十二の二第二項第一号に規定する金融商品取引業者又は登録金融機関を相手方として行うものに限る。)をいう」(一部抜粋)

というカッコ書きの部分が追加されました。これにより、金融庁に未登録の海外業者は申告分離課税(一律20%)の対象とならないことが条文上明文化されたことになります。

リンク>>>「金融庁登録業者一覧
(ファイル名の変更があってはいけませんので、念のために1階層上のページも記載しておきます)。

申告分離課税の対象とならないということは、金融庁に未登録の海外業者を利用したFXの利益や損失について、具体的に

  • 他の総合課税の所得と合算し、最大55%の税金がかかる。
  • 総合課税の所得でも、雑所得以外の所得とは損失を相殺することはできない。
  • 国内の証券会社を利用したFXの利益や損失と相殺はできない。
  • 損失を繰り越すことはできない。

ということになります。

一般的に税理士としてのお話はここまでですが、これをご覧になられている方は、実際にトレードに活用されたい投資家の方かと思いますので、現実に活かすことが重要でしょうから、レバレッジ規制の問題等で、海外業者を使われたい方が多いかと思います。

なので、上記の改正を見てガッカリされる方も多いかも知れませんが、例えば弊社の場合、法人を創って海外業者で取引をすることで、レバレッジは高いままで、利益に対する税金の割合は申告分離課税の20%以下に抑えることも可能となってきます。

それに関しては、「税率20%だけで判断すると損をする?FXの正しい税金対策法とは?」にまとめていますのでご覧下さい。

国内と海外のFXをまとめて申告したら税務署から指摘が来た!

過去に、弊社の無料相談会に来られた方の中には、個人口座でやられていた国内のFX業者での取引と、海外のFX業者での取引を、知らずにひとまとめにして申告してしまったところ、税務署から

『FXの所得について申告された内容が認められないので、取引状況のわかる資料を持って、税務署まで来てください』

と連絡があり、かなり高圧的な態度をとられて心が折れてしまったという方もおられました。

プロの目線からお話させていただくと、そもそも提出された申告書に対して、税務署が受け取りを拒否することは出来ず、申告内容について疑問がある場合には、行政指導か税務調査が行われることになります(ちなみに、行政指導と税務調査ではその後の対応方法が変わるため、どちらなのかをはっきりとさせておくことはとても重要です)。

税務署から指摘された時の対処法は?

この場合の対処法は、もちろん国内業者のFXと、海外業者の取引を分けて申告することが大前提ですが、実際に多くのトレーダーさんからご相談を伺ってきて問題になるのが

「経費をどちらに入れるか」

です。どちらかにまとめてしまうのは客観的に見て違和感があるでしょうし、実際にトレードを行っていれば、この費用は国内FXのため、この費用は海外FXのためと、明確に分かれていない費用も多く、両方に共通して使っている費用もあるのが現実でしょう。

弊社で申告をさせていただく場合には、予め税務調査も見越した上で、しっかりと資産をお守りできるよう様々な対策をしておりますが、ご自身で確定申告される場合はなかなか難しいところもあるかと思いますので、誰でもできる対策法としては、まず「根拠から考える」ということです。

よくある失敗としては、

「国内FXと海外FXを比べて、利益が出ている方から全額引いてしまおう」

という方がおられますが、理屈が合わない場合は、逆に税務署に突っ込みどころを与えてしまうこととなり、後々、ペナルティーを科されるなど、非常に面倒なことになってしまうケースが多いのです。

対税務署で最も重要なことは「突っ込みどころを与えない」ことです。どちらが得かより、論理的な説明と、それを証明できる根拠資料を揃えておくということが、個人の方の場合は重要になってきますので、提出義務がないからといって破棄してしまうのではなく、そういう時のために根拠資料はしっかりと残しておくことが大事です。(2016.7.14)

※この度、所得税の改正通達があり、FXや暗号資産における経費の範囲が縮小されました。新しい情報はリンク先の記事をご参照下さい。
>>>『【悲報】FXや仮想通貨(暗号資産)の経費が認められなくなった?』

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