この記事を書いている人
税理士 堀 龍市
投資専門会計株式会社 代表取締役
税理士(近畿税理士会所属 登録番号092469番)
FXや仮想通貨、株式やバイナリーオプション等、投資の税金対策や法人化に精通。
有名トレーダーをはじめ全国の投資家らの税務顧問を多数担当し、専門誌での連載などメディア実績多数。
業務にはオンラインも活用し、北は北海道から南は沖縄の離島までクライアント実績を持つ。
今まで国内の店頭FXにおいて、個人口座の25倍に対し、100倍ほどのレバレッジを使えていた法人口座ですが、この度の「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」により、各業者とも2017年2月後半から、変動式のレバレッジ規制を開始することになりました。
それに伴い、特にスキャルピングなどの短期売買をされているトレーダーさんにとっては、業者選びが悩ましい問題かも知れませんが、実はこの法人口座のレバレッジ規制を回避する方法があります。
但し、回避するにあたっては、同時にいくつか抑えておかなければならないポイントがありますので、以下にご紹介していきます。
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「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」とは?
今回の法人口座レバレッジ規制の元となった法令ですが、2016年6月14日に公布され、平成29年3月1日から摘要されます。よって、どの業者もそれに間に合うよう、平成29年2月末日からの規制に踏み切ったようです。
これにより、証拠金率(証拠金が取引金額に占める割合)が一律固定ではなく、
ちなみに、金融庁のサイトにある該当ページを見てみますと、一部改正を行うにあたり、平成27年12月11日(金)から平成28年1月12日(火)にかけて公表し、各所に意見の募集を行った上で、今回の改正を行ったとのことです。
こちらのページに、寄せられたコメントの概要や金融庁の意見も掲載されていますので、興味のある方はご覧下さい。
法人口座のレバレッジ規制を回避するには?
さて、本題の法人口座のレバレッジ規制を回避するための方法ですが、これを行うにはまず「税金」と「税務調査」、あと「円換算」のことを同時に考えておく必要があります。
レバレッジ規制については、個人でも法人でも、海外のFX業者を使うことで最大888倍までのレバレッジで取引可能ですが、但し、過去に弊社のメルマガでも何度かご紹介している通り、金融庁に登録されている海外業者(←日本のレバレッジ規制の対象となります)以外を使った場合、個人口座のままですと、申告分離課税の税率20%は摘要されず、総合課税になってしまいます。
なので、それを知らずに取引すると、結局、レバレッジ規制を回避して利益増を達成できたとしても、その分、税額が増えて手元に残るお金は減ってしまうという本末転倒なことも充分に考えられるのです
(金融庁としては、登録外の海外業者については注意喚起をしていますので、弊社としても推薦というわけではなくあくまで自己責任となりますが、最近では日本語対応をしてくれるところも多く、海外業者を使ったFXは非常に一般的なことでもありますので、弊社のクライアント様の中にも使われている方は多くおられます。
尚、これは憶測ですが、金融庁としては資金が海外に流れることを嫌いますので、かつて個人のレバレッジ規制を行った際にも、その分が国内の株式市場に回ることを期待していたのかも知れませんが、実際には海外業者に流れていったことで、それ以降、圧力をかけるなど、海外業者の締め出しが厳しくなっているとの見方もあるようです……)。
ちなみに、個人と法人とでは、できる節税対策が全く異なりますので、過去のメルマガや無料レポートでも具体的な数字を入れたシミュレーションをご紹介しておりますが、FXのトレードやその節税に詳しい税理士が適切な対策を行った場合、個人の税率20%より低い税率に抑えることも実は可能です
(但し、税率のみではなく、トレーダーさんの立場からすると、個々のトレードスタイル等も考慮した上で、最も良い対策を行うべきだと考えていますので、弊社ではシミュレーション資料をお作りした上で、それを元に進めていくようにしています)。
つまり、「海外業者を使うことでレバレッジ規制を回避できる」というメリットに加え、「税率が高くなってしまうというデメリット」を、「法人口座+効果的なFXの税金対策スキル」によって、それをもメリットに変えてしまうということが可能になります。
海外業者を使う際に注意すべきポイントとは?
海外のFX業者を使ってトレードを行う際、例えば短期売買の方は「スキャルピングOKな業者を選ぼう」だとか、「ボーナスキャンペーンの多い業者にしよう」、また「きちんと出金される業者を選ぶ」ことや、「信託保全されている業者にしよう」など、トレーダー側の選択をされる方は非常に多いですが、もう一つ考えておかないといけないことは円建てへの「レート換算」です。
よくご相談を頂く内容で、過去のメルマガでもご紹介していますが、例えば海外業者を使ってドル建てで売買をしていた場合、税務署にはそれを円換算して申告する必要がありますが、基本的にはトレード毎のレートで円換算をする必要があります。
年に数回しか行わない長期トレーダーの方ならまだしも、デイトレや一日に複数回トレードされるスキャルパーの方にとっては、これは非常に大変な作業です。
弊社のクライアント様の場合は丸投げしていただいて、面倒な帳簿付けやデータ入力などはもちろん、円への換算も弊社で全てやらせて頂きますので、トレードに集中していただくことが出来ますが、ご自身でされる方の場合は、最近は、円建て口座のある業者もありますので、それを選択肢の一つとして選ばれるのも良いかも知れません。
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全ては税務調査を意識して行うべき!
ブログやTwitter等を見ておりますと、個人口座をお使いの方で、ご自身で確定申告をされる場合、よく申告を目的やゴールとして考えておられて「あ〜、今年も無事に確定申告が終わった〜」と安心しておられる方がいらっしゃいますが、残念ながら、申告時に税務署から不備を指摘される事はありません。内容に疑問があった場合は、後日、税務署から電話や郵便で連絡が来るか、税務調査が入り、その時に指摘をされることになります。
なので、レートの円換算にしろ、節税対策にしろ、見据えるべきは税務申告ではなく「税務調査」なのです!
(過去にFXの法人決算をご自身でされているという珍しい方もおられましたが、なかなか一般の方が適切にされるのは難しく、資料を見させていただいても、やはりきちんと出来てはいませんでしたので、税務調査のことを考れば、信頼できるプロを探されて、その方に任せられた方が良いかと思います)。
節税というのは税理士試験で出るわけではありませんので、税理士さんや会計士さんによって、そのスキルは大きく異なります。また、国家試験ではありますが、お医者さんでも脳外科や消化器内科など、細かく分かれているのと同じで、税理士や会計士さんでも専門分野や得意分野は異なりますので、節税に強いことに加えて、税務調査、とりわけ一般のそれとは異なる「FXの税務調査」に対しても、スキルと実績が高くないと、いくら節税対策を行ったとしても、税務調査で否認されて、追徴課税されていては全く意味がありません(実際にそういったケースで弊社へご相談に来られる方も多くおられます……)。
なので、「レバレッジ規制を回避するなら海外業者を使えば良いじゃない?」という考え方だけではなく、より多くの利益を獲得するためには、現実問題として、最低でもそこまでを考えた上で行う必要があるということを知っておいて下さい。(2017.2.3)
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※上記の内容は記事発行時のものです。税法は毎年変わります。現在のリアルタイムな税金対策の内容や、何かご不明な点がございましたら、お電話や以下のメールフォームからお気軽にお問い合わせ下さい。また、今よりどれだけ節税できるかの目安となる「シミュレーションのサンプル資料」を無料で差し上げております(もちろん相談されても、こちらから契約を迫ったり、セールスや勧誘等を行う事は一切ございませんのでどうぞご安心下さい)。