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FX確定申告

弊社には毎日、全国の皆様からFXの税金についての様々な質問やご相談が寄せられるのですが、中でも多い質問の一つに、

「いくら以上利益が出れば、節税を申し込んだ方が良いですか?」

というものがあります。皆さんFXをされるには、まずは利益を上げることを目的として始められますので、もっともな質問でしょう。

ただ、他のビジネスならそれでも良いのですが、FXの節税に関していうと、正しい順番とタイミングでそれらについて対処しておかないと、思いがけず余計な損失を被ったり、また利益を逃す可能性も実は出てくるのです。

今回はそんな「FXの節税を行うべき正しいタイミング」についてお話してみましょう。

 

FXの節税は「保険」として考える?

節税と聞くと、上がった利益に対して行うべきものだと思いがちですが、実はFXに関してはこの限りではありません。というのも、順調にトレードで利益が上がれば良いのですが、FXに限らず投資というのは、利益と同時に損失が出る可能性もあります。つまり、利益が上がった時の税金対策として考えるのと同時に、万が一、マイナスが出た時の「保険」としても考えておく必要があるのです。

FXのトレードスタイルによって行うべき節税法は異なる?

例えばロット数も少なく、年間利益も数万円から数十万円ぐらいまでで、仮に損失が出たとしても、同じぐらいで収まるAさんの場合、利益が出てから節税対策を考えても良いでしょう。利益が出てもお小遣い程度かも知れませんし、マイナスが出ても諦めがつくかも知れません。

一方で、年間数百万円からそれ以上の利益を見込んでいるBさんの場合、もちろん利益が出れば良いのですが、万が一、損失が出た場合、ロットも大きいので同じぐらいのマイナスが出る可能性もある。

こんな二人がいらしたとして、同じ節税対策をしていては実は非常に危険なのです!

節税対策を乗り物で例えると

上記ではピンとこないかも知れませんが、分かりやすく乗り物に例えてみましょう。例えば、利益も損失もさほど大きくならないAさんの場合、イメージで言うと、時速数十キロの自転車(ママチャリ?)に乗っているような感じかも知れません。仮に事故を起こしてケガをしても、捻挫かかすり傷程度で済む場合がほとんどでしょう。なので、保険に入っていない人も多いですし、入る義務のある自治体だったとしても、安価な自転車保険で事足りるかと思います。

一方で、ロットも大きく利益や損失の可能性も比較的大きいBさんの場合、イメージで言うと乗用車に乗っているような感じですので、万が一事故を起こすと、数十万円から数百万円かかる可能性や、最悪の場合、命を落とす危険性も出てきます。なので、自賠責保険はもちろん、きちんと任意保険にも入っておくべきでしょう。つまり、節税を考えずにトレードを行うというのは、ケースによっては保険に入らず自動車に乗っているのと同じような場合もあるのです。

節税を考えていなかった場合の実例

これは実際、弊社へ相談に来られた方の例ですが、その方は個人口座で取引をされていて、初年度はトレードも順調に進み、大きな利益を上げられたのですが、年明けに一気にマイナスとなり、口座資金も底をついてしまったものの、初年度の利益にはしっかり税金がかかってきますので、当然確定申告が必要になります。ただ、既にお金がないので払えないと困っておられるというご相談でした。

「まさかそんなこと……」と思われるかも知れませんが、年をまたいで損失繰り越しが出来ない個人口座の場合、これはよくあるケースです。ちなみに法人口座で行っていた場合、全く同じ取引だったとしても、7年間(現在は更に延びて10年間になりました)の繰り越し期間がありますので、何の問題も無く、税金はかからずに済むケースなのです。

個人口座の損益を法人口座へは移行できない

これもよく頂く質問ですが、個人口座で取引をしていて法人化された場合、全くの別人格となりますので、その損益を移行することは出来ません。つまり

「法人の方が節税にも有利みたいだし、利益も大きく出たから法人化しよう!」

という考えでは遅いのです。このケースは利益が減るだけで済みますが、損失の場合は、当然取り消すことは出来ません。残念ながら、それが良くても悪くても、結果が出てから節税対策を考えたとしても、出来ることは非常に限られてくるのが日本の税法です。

つまり、利益に対して同様の損失も出る可能性があるFXの場合、節税を考える正しいタイミングというのは、トレードを初めてからではなく、損失の規模も考えた上で、トレードを始める前に考えておく必要があるということです。

まとめ:節税効果は税理士によっても大きく異なる

ちなみによく「法人化すれば節税ができる」と思われている方がいらっしゃいますが、それは間違いです。無料相談会の時に

「実は既に税理士さんにお願いしているんですが……」

と、資料をお持ち下さる方もおられるのですけれども、見させていただくと、残念ながら効果的な対策がされてない場合がほとんどです。

それはその税理士さんが悪いというより、税理士も士業ですので、お医者さんと同じく専門分野や得意分野があります。これはまた別の機会に致しますが、要するに国家資格だとしても、節税というのは税理士試験に出るものではありませんので、その税理士さんによってスキルのレベルはまちまちです。

法人化というのは単に器を作っただけでしかないので、要はそこから、その方にとってどれだけ効果的な節税対策を、その税理士が行えるかどうかがキモになります。

少し話が脱線してしまいましたが、今回は主に「損失の繰り越し」という、ほんの一部分をとっての例でしたけれども、FXの場合は、トレードを始めてから節税を考えるのではなく、始める前からきちんと対策しておくことで、利益が上がった場合も、万が一の場合にも、有利にもっていくことが可能になるということを覚えておきましょう(2010.7.12)

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